- 著者
-
武田 佳子
溝口 侑
溝上 慎一
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育工学会
- 雑誌
- 日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.2, pp.229-239, 2022-05-20 (Released:2022-06-22)
- 参考文献数
- 51
本研究では,リーダーシップの発揮に有効とされるリーダーシップ自己効力感とレジリエンスに着目し大学4年次と社会人1年目で縦断調査を行った.学校から仕事・社会への移行(トランジション)におけるリーダーシップ自己効力感(LSE;変革力・遂行力・共感力・鼓舞力)とレジリエンス(BRS;資質的・獲得的)の相互関係の検討を行うため,縦断データを用い交差遅延効果モデルによる分析を行った.その結果,大学から社会人1年目でLSE の4因子及びBRS の2因子すべてで有意な得点の低下が見られた.また,大学4年次の資質的レジリエンスから社会人1年目のLSE の遂行力,変革力,鼓舞力へ,大学4年次の獲得的レジリエンスから社会人1年目のLSE 遂行力へ有意な正の影響が見られた.大学4年次のLSE から社会人1年目のBRS への影響はみられなかったことから,大学までにレジリエンスを身につけることは,社会人1年目において,共感力以外のリーダーシップ自己効力感に効果がある可能性が示唆された.