著者
蜂須 貢 村居 真琴 田中 正明 瀬川 克己 武重 千冬
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.543-550, 1979-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
21

1.D-フェニルアラニンのペプチダーゼ阻害作用を生物学的に検定した.モルモット空腸の収縮はエンケファリンで抑制されるが, この抑制はペプチダーゼを含む脳の抽出液が存在する時は消失するが, D-フェニルアラニンを添加すると消失しないで, 脳の抽出液を熱処理して酵素活性を失わせた時と同じになる.2.ラットの脳室内に投与したエンケファリンによる鎮痛はD-フェニルアラニンの腹腔内投与によって著しく増強される.3.ラットの尾逃避反応の潜伏期を痛覚の閾値として, 針麻酔の刺激を加えると, 5%の危険率で有意の差のある鎮痛が現われるラットと現われないラットがあり, それぞれ針鎮痛有効群, 無効群とに区分できる.4.D-フェニルアラニンを投与すると, 針鎮痛無効動物の針鎮痛は著しく増強され, 有効群にD-フェニルアラニンを投与した時のわづかに増強された針鎮痛とほぼ等しくなり, 針鎮痛の有効性の個体差は消失する.5.針鎮痛有効群ラットは中脳中心灰白質刺激による鎮痛も有効で, 針鎮痛の有効性の個体差と中脳中心灰白質刺激による鎮痛の有効性の個体差はよく並行する.D-フェニルアラニンを投与すると, 針刺激ならびに中脳中心灰白質刺激無効群ラットの, 中脳中心灰白質刺激による鎮痛は増強し, D-フェニルアラニン投与後わづかに増強された針刺激有効群ラットの中脳中心灰白質刺激による鎮痛とほぼ等しくなり, 中脳中心灰白質刺激による鎮痛の有効性の個体差は消失する.6.モルヒネ鎮痛の有効性の個体差も針鎮痛の有効性の個体差と並行するが, D-フェニルアラニン投与後はモルヒネ鎮痛は増強され, 鎮痛の程度は両群ともほぼ等しくなり, モルヒネ鎮痛の有効性の個体差は消失する.7.針鎮痛, 中脳中心灰白質刺激による鎮痛, モルヒネ鎮痛何れにも鎮痛性ペプタイドの内因性モルヒネ様物質が関与し, これら鎮痛の有効性の個体差はぺプチダーゼの活性の個体差に依存していると考察した.
著者
岡本 太郎 武重 千冬
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1-9, 1989

視覚は生後発生する感覚であることは視覚領における視覚ニューロン活動の生後の発達が閉眼の影響をうける事から知られている.視覚の発達には視覚領のみならず, これを認識する過程の発達を無視することは出来ない.視覚の誘発電位を指標とすると, 視覚領における第1次の誘発電位と, これを認識する過程に関係する第2次の誘発電位から, 両者の発達の過程を別々に経日的に検索することが可能である.本研究は誘発電位から視覚発達の過程を検討した.視覚誘発電位 (visual evoked potential, VEP) は生後間もない仔ネコを用いて, ヒトの脳波誘導の10/20法の, Pz (頭頂極) およびInion (後頭極) に相当する部位から双極性に誘導し, 無麻酔, 無拘束の状態で、暗箱の上孔から閃光刺激を与えて誘起した.VEPは, 潜時100ms以下のものを第1次誘発電位, 潜時100ms以上のものを第2次誘発電位とした.第1次誘発電位は, 光刺激による特殊投射系を経た視覚領の誘発電位であるので, 視覚そのものの発達の指標となり, 第2次誘発電位は非特殊投射系を経た誘発電位であるので, 視覚の認識の発達に関する過程の指標となると考えられる.視覚の発達に決定的な影響を与える時期は, 視覚ニューロンの検索では生後4週の始めの数日にあると報じられているので, 生後3週の終わりを基準にして3種の閉眼を行った.すなわち, 生後1) 2-4週の問, 2) 4週以降から, 7週から11週までの間, 3) は1) と2) にまたがる2-6週までの間とした.第1次誘発電位は生後2.5週で初めて出現し, その後振幅を増し, 5週にはほぼ一定の振幅で出現して安定に維持された.これに反し, 第2次誘発電位は不安定で出現の有無も振幅も一定せず, この傾向は生後何れの時期においてもみられた.第1次誘発電位は, どの期間の閉眼によっても, 一時的に減少はしたが, 開眼後は徐々に回復し, 最終的には正常と同程度の振幅に復帰した.これに反して, 第2次誘発電位は閉眼と同時に出現しなくなったが, 1) と2) の閉眼では開眼すると徐々に回復し, やがては閉眼しなかった時と同じように出現するようになった.しかし, 3) の2-6週の閉眼では閉眼中はもとより, 開眼後も実験の期間中の開眼18週後まで全く出現しなかった.以上の結果から, 閉眼の効果は第1次誘発電位よりも第2次誘発電位の方に決定的な影響が現われ, かつ3) の閉眼が第2次誘発電位の発現の阻止に必須であることが明らかとなった.したがって仔ネコでは視覚認識の過程が視覚発達上極めて重要であることが示唆された.
著者
蜂須 貢 村居 真琴 田中 正明 瀬川 克己 武重 千冬
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.543-550, 1979

1.D-フェニルアラニンのペプチダーゼ阻害作用を生物学的に検定した.モルモット空腸の収縮はエンケファリンで抑制されるが, この抑制はペプチダーゼを含む脳の抽出液が存在する時は消失するが, D-フェニルアラニンを添加すると消失しないで, 脳の抽出液を熱処理して酵素活性を失わせた時と同じになる.<BR>2.ラットの脳室内に投与したエンケファリンによる鎮痛はD-フェニルアラニンの腹腔内投与によって著しく増強される.<BR>3.ラットの尾逃避反応の潜伏期を痛覚の閾値として, 針麻酔の刺激を加えると, 5%の危険率で有意の差のある鎮痛が現われるラットと現われないラットがあり, それぞれ針鎮痛有効群, 無効群とに区分できる.<BR>4.D-フェニルアラニンを投与すると, 針鎮痛無効動物の針鎮痛は著しく増強され, 有効群にD-フェニルアラニンを投与した時のわづかに増強された針鎮痛とほぼ等しくなり, 針鎮痛の有効性の個体差は消失する.<BR>5.針鎮痛有効群ラットは中脳中心灰白質刺激による鎮痛も有効で, 針鎮痛の有効性の個体差と中脳中心灰白質刺激による鎮痛の有効性の個体差はよく並行する.D-フェニルアラニンを投与すると, 針刺激ならびに中脳中心灰白質刺激無効群ラットの, 中脳中心灰白質刺激による鎮痛は増強し, D-フェニルアラニン投与後わづかに増強された針刺激有効群ラットの中脳中心灰白質刺激による鎮痛とほぼ等しくなり, 中脳中心灰白質刺激による鎮痛の有効性の個体差は消失する.<BR>6.モルヒネ鎮痛の有効性の個体差も針鎮痛の有効性の個体差と並行するが, D-フェニルアラニン投与後はモルヒネ鎮痛は増強され, 鎮痛の程度は両群ともほぼ等しくなり, モルヒネ鎮痛の有効性の個体差は消失する.<BR>7.針鎮痛, 中脳中心灰白質刺激による鎮痛, モルヒネ鎮痛何れにも鎮痛性ペプタイドの内因性モルヒネ様物質が関与し, これら鎮痛の有効性の個体差はぺプチダーゼの活性の個体差に依存していると考察した.

1 0 0 0 OA 気功と松果体

著者
武重 千冬
出版者
日本良導絡自律神経学会
雑誌
日本鍼灸良導絡医学会誌 (ISSN:02861631)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.1-4, 1998-04-01 (Released:2011-10-18)
参考文献数
1