著者
伊藤 至乃 天野 幸子 殿塚 婦美子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.39-52, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10
被引用文献数
7 3

母子を組 (429) にして児童及び母親の食事に対する意識や態度を調査した結果, 次のことが明らかになった。1) 児童の家の食事と給食の満足, 不満足の主な要因は, 食事の内容と食卓を囲む人間関係や食事をつくる人とのコミュニケーションの問題であることが明らかにされた。家族や友だちと一緒に食べることや食事づくりの手伝いは, 満足度を高める要因である。ただし給食当番は, 家庭での手伝いほど満足度に影響を与えていなかった。2) 食事に満足している母親は, 家族と密なコミュニケーションがあり, 食事づくりにかける時間が長い。3) 子どもの意識や態度を通しての母親の意識や態度の観察では, 次の3点に違いがみられた。(1) 家の食事に満足している子どもの母親は, 献立に子どもの嫌いな物を考える時に工夫をし, 食事づくりに時間をかけていた。(2) 手伝いをよくする子どもの母親は, 手伝いの期待が高かった。(3) 食べ物の好き嫌いが少ない子どもの母親は, 献立に子どもの嫌いな物を考える時に, 好き嫌いは考えないと工夫しているとに分かれた。好き嫌いを考えない母親は, 家族とのコミュニケーションが親密であり, 互いの期待に応えようとする態度がうかがわれた。(4) 母親の意識・態度を通しての子どもの意識・態度の観察では, 子どもの嫌いな物に対する態度にのみ違いがみられた。子どもが嫌いな物を食べ残した時に何もいわない母親の子どもは, 家の食事に不満足で好き嫌いがあり, 食事も残す。このような母親の子どもに対する消極的な態度とコミュニケーション不足が, 子どもの食事に対する意識や態度に反映されていた。
著者
殿塚 婦美子 笹島 道雄 松本 仲子 鈴木 久乃
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.217-225, 1983 (Released:2010-04-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1

竪型炊飯器を用い, 米の予備浸水の有無が飯の品質に及ぼす影響について, 次の結果が得られた。1) 浸水した米の飯の脱水速度は, 浸水しないものに比べてその速度が遅かった。2) テクスチュロメーターで測定した結果は, 浸水した米の飯はしないものに比べて, 粘りが大きく, 硬さ, 凝集性, 咀嚼性が小さい傾向を示した。3) 加熱に先だって浸水したものは, 加熱条件を変えて炊飯した場合, いずれの加熱条件においても, 浸水しないものより官能検査による評価が高い傾向を示した。4) 炊飯後保温したものについても, 浸水したものは, 浸水しないものより高い評価が得られたが, その差は炊飯直後のものに比べて小さい傾向がみられた。5) 保温した飯は浸水の有無にかかわらず, 炊飯直後のものに比べて食味が劣る結果が得られた。
著者
伊藤 至乃 天野 幸子 殿塚 婦美子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.39-52, 1993
被引用文献数
3

母子を組 (429) にして児童及び母親の食事に対する意識や態度を調査した結果, 次のことが明らかになった。<br>1) 児童の家の食事と給食の満足, 不満足の主な要因は, 食事の内容と食卓を囲む人間関係や食事をつくる人とのコミュニケーションの問題であることが明らかにされた。家族や友だちと一緒に食べることや食事づくりの手伝いは, 満足度を高める要因である。ただし給食当番は, 家庭での手伝いほど満足度に影響を与えていなかった。<br>2) 食事に満足している母親は, 家族と密なコミュニケーションがあり, 食事づくりにかける時間が長い。<br>3) 子どもの意識や態度を通しての母親の意識や態度の観察では, 次の3点に違いがみられた。<br>(1) 家の食事に満足している子どもの母親は, 献立に子どもの嫌いな物を考える時に工夫をし, 食事づくりに時間をかけていた。<br>(2) 手伝いをよくする子どもの母親は, 手伝いの期待が高かった。<br>(3) 食べ物の好き嫌いが少ない子どもの母親は, 献立に子どもの嫌いな物を考える時に, 好き嫌いは考えないと工夫しているとに分かれた。好き嫌いを考えない母親は, 家族とのコミュニケーションが親密であり, 互いの期待に応えようとする態度がうかがわれた。<br>(4) 母親の意識・態度を通しての子どもの意識・態度の観察では, 子どもの嫌いな物に対する態度にのみ違いがみられた。子どもが嫌いな物を食べ残した時に何もいわない母親の子どもは, 家の食事に不満足で好き嫌いがあり, 食事も残す。このような母親の子どもに対する消極的な態度とコミュニケーション不足が, 子どもの食事に対する意識や態度に反映されていた。
著者
殿塚 婦美子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.232-244, 2003-03-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1
著者
殿塚 婦美子 谷 武子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.14-19, 1995-02-20
被引用文献数
3

ブラウンルーの別法として, 油脂を用いず小麦粉を天板に入れ, 天火で焙焼する(以下焙り粉と略す)方法の焙焼条件の標準化を目的として, 焙焼条件の異なる焙り粉を調整し, 焙り粉の客観的指標, 天火設定温度と焙焼時間および焙り粉希釈加熱液(ソース)の煮込み時間について検討した。その結果, 次のことが明らかになった。1. 焙り粉の焙焼による色の変化は, 設定温度により異なり, 焙焼温度と時間の管理が重要であった。2. 焙り粉の色は, きな粉や米ぬかの色と似ており, 客観的指標は, 小麦粉(未加熱)に対する色差は31~36であった。3. 官能検査の結果から, 焙り粉の焙焼条件, すなわち天火設定温度と焙焼時間は180℃(120分), 190℃(60分), 200℃(45分)が適当であった。なかでも190℃(60分)は最も評価が高く, 品質管理, 作業能率の面からも最適と考える。4. 焙り粉希釈加熱液(ソース)の煮込み時間は, いずれの焙焼条件の焙り粉においても, 120分間に比べ, 5分間が有意に好まれた。5. 設定温度180℃(120分), 190℃(60分), 200℃(45分)で調整した焙り粉のみかけの粘土は, 類似であり, 煮込み時間による変化もわずかであった。6. 焙り粉の嗜好は, ブラウンルーに比肩した。
著者
長田 早苗 殿塚 婦美子 荒木 英爾
出版者
女子栄養大学
雑誌
女子栄養大学紀要 (ISSN:02860511)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.41-48, 2004-12-01

(1) 牛肉試料中のCLAのメチルエステル化については14%BF_3/MeOH法 (室温・30分間)によるほうが, 4%HCl/MeOH法と比較して脂質1gあたりの脂肪酸量の定量をより適切に行なえることが示された。(2) 真空凍結乾燥実施試料は非実施試料と比較して, 単位脂質量あたりの脂肪酸抽出量が多く, より適切な定量分析を行なえることが明らかとなった。(3) 機器により焼き加熱条件を設定した調理方法による牛肉中の9c, 11t-CLA含量の変化を調べた結果, 牛脂質1gあたりの量に変化は認められなかった。しかし, リノール酸を添加した牛肉試料については, 焼き加熱条件下の試料について9c, 11t-CLAの有意な増加が認められた。