著者
氏原 邦博 吉元 誠 和田 浩二 永井 竜児 広瀬 直人 照屋 亮
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.343-349, 2009-06-15
参考文献数
15
被引用文献数
1 4

黒砂糖の色調,栄養成分,機能性成分および食味等に搾汁機のローラーの材質およびライミング処理が及ぼす影響を調査し,以下の結果を得た.<BR>(1) 市販黒砂糖の暗色化の原因は,搾汁機のローラー由来の鉄とライミング処理によるものであり,これらがアミノカルボニル反応を促進することで着色が進み,暗色化していることが明らかとなった.搾汁機のローラーの材質をステンレスに換え,ライミング処理しないことにより,黒砂糖の色調は明るくなった.<BR>(2) ステンレス製ローラーで搾汁し,ライミング処理しない黒砂糖は鉄製ローラーで搾汁し,ライミング処理した黒砂糖よりも鉄含量とカルシウム含量は少なかったが,スクロース含量,アミノ酸組成,カリウム含量,マグネシウム含量および機能性成分であるポリフェノール含量は同程度であった.<BR>(3) ステンレス製ローラーで搾汁し,ライミング処理しない黒砂糖の明るい色調は消費者に好まれ,食味は苦味,えぐみ等が改善されたことにより評価が優れ,料理への適性も高いと考えられた.
著者
杉本 明 氏原 邦博 前田 秀樹 下田 聡
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.67, pp.52-54, 2001-05-15

琉球弧におけるサトウキビの安定多収栽培実現の主な障害は, 収穫後の萌芽が不良で株出しの生産力が低いこと, および, 台風, 干ばつ被害を受けやすいことである. 琉球弧の気象条件に適応性の高い栽培法を確立するために, 秋植え・秋収穫による1年1作株出し多収栽培法成立の可能性を検討した. 極早期型高糖性品種を用いた秋植えは, 気象災害に比較的強い夏植えと同様の生育経過を辿り, 1年後には収穫しうる糖度に達する可能性が高い. 秋収穫における萌芽時の地温は, 冬収穫時の地温に比べて萌芽適温に近く(宮里 1986, 杉本 2000), 既存の品種を10月に収穫すると, 株出し栽培の萌芽・初期生育が改善されて梅雨時期には生育旺盛期に達することが報告された(杉本 2000). 梅雨前に大きく生長したサトウキビは梅雨の降雨を最大限に利用して旺盛に生育し, 多収になるとともに, 土壌表面の植物被覆により, 土砂流出抑制への貢献も期待される. 本報告では, 収穫時期の異なる1年栽培の株出しサトウキビに認められる蔗茎収量および可製糖率に関連する特性の差異を報告する.