著者
水落 憲和
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.251-261, 2018-04-10 (Released:2019-09-26)
参考文献数
89

ダイヤモンド中の窒素‐空孔(NV)中心は,その単一スピンの観測が実現して以来,量子センサや量子情報処理に関する多くの重要な研究が行われ,注目される.ダイヤモンド合成技術の発展などにより,NV中心の電子スピンは,室温下でもコヒーレンスをミリ秒以上保持するようになり,センサの観点では高感度化がもたらされた.単一系に加え集団系でも,NV中心は磁場,電場,温度,圧力などの高感度センサとして幅広い分野での応用が期待される.また,量子情報素子としても魅力的である.核スピン,光子,超伝導量子ビットなどさまざまな量子系との量子ハイブリッド化によるセンサ感度向上や,量子情報素子における多量子ビット化などの特性向上の面でも注目される.
著者
水落 憲和
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.910-918, 2009
参考文献数
45
被引用文献数
1

ダイヤモンド中の単一窒素-空孔複合体中心(NV中心)の観測とその単一電子スピンの操作が実現してから,量子情報処理に関する多くの重要な動作実証実験が室温で行われ,NV中心に潜在していた優れた特性が示されてきている.NV中心の特徴は,室温において量子ビットとして優れた操作性と長いコヒーレンス時間を持つ単一スピンを,伝送に適する光により検出することが可能な点である.本稿では単一NV中心の特徴やこれまでの研究について,最近の筆者らの研究を含め解説する.
著者
梅田 享英 萩原 茂 水落 憲和 磯谷 順一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.653-666, 2008 (Released:2008-12-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1 1

インターネットの世界だけでなく,科学技術の世界でも情報量(学術論文)の急激な増加が問題となっている。そのような論文大量生産時代には,大量の論文の中から特定の論文をピンポイントで抽出したり,検索したりする技術が重要になってくる。本稿では,ソーシャルブックマーク技術を応用して,物理学・工学領域の中の「半導体の結晶欠陥」に関する重要な学術論文をピンポイントで検索するデータベースシステムDefect dat@baseについて紹介する。また,このデータベースに該当する重要な論文を専門家と同じ精度で学術雑誌から自動的に抽出するために,人間(専門家)とコンピュータの抽出アルゴリズムとの間で,約16,000件の学術論文に対する大規模かつ詳細な抽出比較実験を行い,さらに一般文書との違いについても比較検討した。その研究結果について詳しく述べる。