著者
萩原 茂樹 米崎 直樹
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.291-301, 2007-12-26 (Released:2017-04-08)
参考文献数
10

暗号プロトコルの解析は,確率的多項式時間チューリング機械を用いる計算論的手法と,Dolev-Yaoモデルに基づく記号論的手法がそれぞれ独立に研究されてきた.記号論による解析は,抽象レベルの解析とみなせ簡潔で分かりやすい一方,記号論による解析結果と計算論による解析結果の対応が明らかでなかった.この問題に対してAbadiとRogawayは,完全な対称鍵暗号方式を前提としてメッセージの見た目の等価性を記号論的に定義し,メッセージが等価ならばそれらは計算論的に識別不可能であること,すなわち記号論によるメッセージの識別不可能性の計算論的意味づけに対する健全性を示した.さらに,MicciancioとWarinschiはその完全性を示している.本稿では,これら内容を中心に関連する研究を含め紹介を行う.
著者
秋山 卓見 泉 直子 萩原 茂樹 米崎 直樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.21, pp.71-78, 2007-03-05
参考文献数
6

近年の分子生物学の進展の中において,遺伝子ノックダウン実験による遺伝子調節ネットワークの解明が進んでいる.本研究では,それらを計算論的モデルを用いて捉えなおし,形式手法を反映したかたちで解析したすなわち,化学反応の活性/抑制関係を表現した,資源の取り合いを基本概念とする意味論を持つ形式オントロジーの公理を満たす,遺伝子調節量を表す数値間の演算の代数的制約と,そのインスタンスとなる関数を提案した.また,遺伝子調節ネットワークを解析した実験結果に適用し,ダブルノックダウン実験による遺伝子調節値を推定する計算式を提案した.The gene regulatory network obtained from the gene knockdown experiment is clarified in the progress of the molecular biology. In this paper, we capture those results by using the computational model, and analyze by a formal method, i.e. we proposed a numeric model of gene regulation reflecting our formal ontology that conceptualized promoting/inhibiting relation of the chemical reactions. Moreover, we formally defined requirements for gene regulation and functions which satisfy this requirements. Finally, we estimated the numerical value of the gene regulation by the double-knockdown experiment with this model.
著者
梅田 享英 萩原 茂 水落 憲和 磯谷 順一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.653-666, 2008 (Released:2008-12-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1 1

インターネットの世界だけでなく,科学技術の世界でも情報量(学術論文)の急激な増加が問題となっている。そのような論文大量生産時代には,大量の論文の中から特定の論文をピンポイントで抽出したり,検索したりする技術が重要になってくる。本稿では,ソーシャルブックマーク技術を応用して,物理学・工学領域の中の「半導体の結晶欠陥」に関する重要な学術論文をピンポイントで検索するデータベースシステムDefect dat@baseについて紹介する。また,このデータベースに該当する重要な論文を専門家と同じ精度で学術雑誌から自動的に抽出するために,人間(専門家)とコンピュータの抽出アルゴリズムとの間で,約16,000件の学術論文に対する大規模かつ詳細な抽出比較実験を行い,さらに一般文書との違いについても比較検討した。その研究結果について詳しく述べる。