著者
水間 玲子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.131-141, 1998-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
49
被引用文献数
2 2

本研究の目的は, 理想自己について, その2側面一自己評価の内的基準, 自己形成を導く指針一に沿って検討していくことであった。そこで, 理想自己と現実自己のズレと自己評価との関連, 及び理想自己の水準と自己形成意識 (可能性追求因子と努力主義因子とからなる) との関連を検討した。研究に際しては, 理想自己に関して, 上記の目的を実証するに意義のあるものとそうでないものとを区別するよう心がけた。結果は以下の通りであった。理想自己と現実自己のズレは, 自己評価と有意な負の相関を示していた。また, 理想自己の水準の高低で群分けを行い, 可能性追求得点と努力主義得点の平均値についてt検定を行ったところ, 可能性追求得点について5%水準で有意に高群の方が高い得点を示していた。ここから, 理想自己の水準の高さは自己評価の低下と関連しながらも, 一方で, 個人の自己形成に向かっていきたいという意識の高さのあらわれともみなしうるのではないかと考えられた。
著者
水間 玲子
出版者
日本青年心理学会
雑誌
青年心理学研究 (ISSN:09153349)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.21-39, 2002-12-27 (Released:2017-05-15)
被引用文献数
1

The purpose of this study is to clarify the meaning of orientation toward ideal self, i.e., the orientation toward actualization of ideal self, from both positive and negative points. We examined positive meaning from the relationship between orientation toward ideal self and the degree of self-development and negative meaning from the relationship between self-evaluation and orientation toward ideal self. We requested 638 university students to answer the questionnaire. As a result, it was shown that orientation toward ideal self was significantly positively related with expectation of future self-development and evaluation of past self-development, and it insisted that orientation had positive meaning on this point. The negative meaning of orientation toward ideal self, however, couldn't be found clearly. With further investigation, which implied that orientation toward ideal self was also related with acquirement of steps and acts to actualize ideal self, these results would be caused not only because that orientation toward ideal self meant the strength of one's heart but also because that it was followed the steps or acts to actualize ideal self.
著者
水間 玲子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.43-53, 2003-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
38
被引用文献数
10 3

自己嫌悪感にはその体験から自己形成に向かう可能性があると指摘される。本研究では, 自己嫌悪感を体験する場面において, 否定的な自己の変容を積極的に志向する態度を“変容志向”とし, それと他の変数との関係について検討した。変容志向は日頃の自己内省によって可能となること, 未来イメージが肯定的なことと関連すること, 同時に, それによって自己嫌悪感にとらわれる可能性もあること, また, 日常の自己嫌悪感体験頻度によっても促進されること, を仮説として設けた。質問紙調査を行い, それらについて検討した。調査対象は大学生・大学院生255名 (男子128名, 女子127名) であった。その結果, 自己嫌悪感場面における変容志向は, 普段から自己内省の程度が低い者においては他よりも低いこと, 未来イメージが肯定的である場合にも高くなっていることが明らかにされた。また, 自己嫌悪感体験頻度が高い者において変容志向の程度も高くなっていたが, 変容志向によって自己嫌悪感へのとらわれの程度が高まるわけではないようであった。
著者
水間 玲子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.43-53, 2003-03
被引用文献数
1

自己嫌悪感にはその体験から自己形成に向かう可能性があると指摘される。本研究では,自己嫌悪感を体験する場面において,否定的な自己の変容を積極的に志向する態度を"変容志向"とし,それと他の変数との関係について検討した。変容志向は日頃の自己内省によって可能となること,未来イメージが肯定的なことと関連すること,同時に,それによって自己嫌悪感にとらわれる可能性もあること,また,日常の自己嫌悪感体験頻度によっても促進されること,を仮説として設けた。質問紙調査を行い,それらについて検討した。調査対象は大学生・大学院生255名(男子128名,女子127名)であった。その結果,自己嫌悪感場面における変容志向は,普段から自己内省の程度が低い者においては他よりも低いこと,未来イメージが肯定的である場合にも高くなっていることが明らかにされた。また,自己嫌悪感体験頻度が高い者において変容志向の程度も高くなっていたが,変容志向によって自己嫌悪感へのとらわれの程度が高まるわけではないようであった。
著者
水間 玲子
出版者
日本青年心理学会
雑誌
青年心理学研究 (ISSN:09153349)
巻号頁・発行日
no.14, pp.21-39, 2002-12-27

The purpose of this study is to clarify the meaning of orientation toward ideal self, i.e., the orientation toward actualization of ideal self, from both positive and negative points. We examined positive meaning from the relationship between orientation toward ideal self and the degree of self-development and negative meaning from the relationship between self-evaluation and orientation toward ideal self. We requested 638 university students to answer the questionnaire. As a result, it was shown that orientation toward ideal self was significantly positively related with expectation of future self-development and evaluation of past self-development, and it insisted that orientation had positive meaning on this point. The negative meaning of orientation toward ideal self, however, couldn't be found clearly. With further investigation, which implied that orientation toward ideal self was also related with acquirement of steps and acts to actualize ideal self, these results would be caused not only because that orientation toward ideal self meant the strength of one's heart but also because that it was followed the steps or acts to actualize ideal self.