著者
植田 弘師 松永 隼人 永井 潤 水田 賢志 田中 義正 水谷 龍明 内田 仁司
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

LPAシグナルは神経障害性疼痛、線維筋痛症モデルの形成と維持機構の共通鍵分子である事を明らかにし、創薬標的分子に対する阻害剤探索やin slico解析、最適化合成を行った。慢性疼痛は免疫系を含む複数のフィードフォワード機構により構成されることを見出したので、特異的薬剤処置やLPAプライミングした培養アストロサイト、iPS細胞、T細胞をin vivo疼痛機構に再構成する研究を実施した。その結果、ミクログリアLPA3受容体-サイトカインによる形成・維持機構、アストロサイトLPA1受容体-ケモカインによる維持機構が主な仕組みであることが明らかになった。
著者
髙清水 康博 永井 潤 岡村 聡 西村 裕一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.119, no.1, pp.1-16, 2013-01-15 (Released:2013-05-08)
参考文献数
61
被引用文献数
5

北海道太平洋沿岸の胆振海岸東部に分布する古津波の復元を,堆積学的解析によって試みた.この津波堆積物は,現海岸線からの距離に対して,層厚と代表粒径が減少し,淘汰は良くなる強い相関関係を持つことが認められた.この津波堆積物の不攪乱定方位試料の粒度組成と粒子配列の解析からは,少なくとも3回の強い津波の浸入が認められる.特に,今回解析した地点1の津波堆積物の粒子配列のデータは,地点1では東北東への流れを示す遡上流のみからなる可能性を示した.これらの証拠から,砂丘の背後に広がる湿原に浸入した津波堆積物の堆積モデルを呈示した.最初に砂丘を乗り越えた津波は,地表面を侵食し,泥炭偽礫を取り込む.津波によって流入した海水のほとんどは,海側にある標高の高い砂丘のために海へ戻らずに,沿岸低地に静水域を形成する.引き続く津波は,この静水域の水底の堆積物を侵食する強い力は持たない.最終的に,海水は地下浸透と蒸発によって消滅する.
著者
永井 潤
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

申請者らが確立してきた線維筋痛症(FM)モデルでは、下降性抑制を介したモルヒネ鎮痛が減弱している。神経障害性疼痛時のモルヒネ鎮痛欠如にはMOP遺伝子のエピゲノム性発現低下が観察されるが、FMモデルでの責任脳領域においてMOP遺伝子変化は観察されなかったことから、異なる機構を介することが示唆された。一方、脂質メディエーターは痛みの制御因子として知られており、TOF-MSやLC-MS/MSを用いた発痛および鎮痛脂質メディエーターの定量系の確立に成功した。本定量系を用いた下降性抑制機構に関わる複数の領域での発痛メディエーター量には変化はないため、上行性あるいは情動系等の他の経路の関与が強く示唆された