著者
坂本 元子 杉浦 加奈子 香川 芳子 池上 幸江 江指 隆年 倉田 忠男 斎藤 衛郎 鈴木 久乃 八尋 政利 吉池 信男
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.311-317, 2001-10-10
被引用文献数
5 1

食品に含有する栄養成分についての表示が国際的な流れの中で, 急速に, また複雑な形で市場に出回ってきている。そのため, 厚生労働省では「栄養成分表示基準制度」を平成8年に発足し, 国民の普及啓発がすすめられている。食品表示制度の発足と市場にあふれる食品表示情報に対し, 消費者はどのような対応をし, どのように活用しているのか, さらに表示の内容, 方法, それに対する意識について調査をし, 消費者の現状について検討した。表示があることは約70%の人が認知しているが, 毎日の使用はまだ低率である。表示栄養素のニーズは, 主要栄養素を中心に女子ではエネルギー, 脂肪が多く, 男子ではミネラル類が多い。しかし, 日本人に不足している栄養素, カルシウムや鉄分, 過剰なもの, 脂肪やコレステロールについては表示へのニーズが高く見られた。表示の活用目的では男女, 年齢を問わず, 健康上の理由や食べ物に注意が必要なときが多く, 健康意識の高まりや健康維持のために使用を目指す人が多く, とくに高齢者層に多く見られている。栄養成分表示の利用について主要なポイントは,「自分の必要量がわからない」ために, どれくらいとっていいかが不明であるという指摘が見られた。今後の表示内容・方法の検討に重要な示唆となるであろう。
著者
阿左美 章治 平塚 静子 北野 隆雄 江指 隆年
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.117-122, 1994-04-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
20
被引用文献数
3 3

生後4週齢のフィッシャー系雌ラットにカゼインをタンパク質源とし, その含有量をそれぞれ10%, 20%, 40%とした飼料, すなわち10%カゼイン食 (C-10), 20%カゼイン食 (C-20), 40%カゼイン食 (C-40) を5週間与えカルシウム (Ca), リン (P), マグネシウム (Mg) の出納実験を行った。また, ミネラル出納に影響を及ぼす腎臓についてその肥大や組織の形態学的な観察を実施した。さらにCaの恒常性に関する血清中のCa量, PTH量, 大腿骨や腎臓中のCa量についても検討した。結果は以下のとおりであった。1) Caの尿中排泄率はC-40が3群中最高値を示した。2) 腎臓の肥大はC-10, C-40に認められるもののC-10についてはCaの尿への高排泄を伴わなかった。3) C-10の腎臓Ca量はC-40のおよそ60倍を示し遠位尿細管部に著しいCaの沈着が認められた。4) C-40の血清中遊離Ca量は3群中最低値を示した。5) C-40の血清中PTH量は3群中最高値を示した。6) C-10の大腿骨中Ca量は3群中最低値を示した。以上の結果から, タンパク質の摂取レベルに対するCa代謝の対応は腎臓を中心に異なることが考えられた。