著者
池上 幸江
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.251-258, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
40
被引用文献数
1
著者
荒木 茂樹 伊藤 一敏 青江 誠一郎 池上 幸江
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.235-251, 2009 (Released:2011-03-30)
参考文献数
94
被引用文献数
3 5

Although barley has traditionally been one of the most important food grains, the intake in Japan has been decreasing during the last forty years. Barley provides many essential nutrients (carbohydrates, dietary fiber, vitamins and minerals) and functional components (dietary fiber and polyphenol). Studies on the health benefits of barley have been rapidly increasing in terms of the cholesterol-lowering effect, serum glucose and insulin normalization, decreased body fat accumulation, and blood pressure reduction. It has been scientifically proven that the soluble dietary fiber in barley, β-glucan, might reduce the risk of cardiovascular disease (CVD). It is inferred that two principal mechanisms may contribute to the cholesterol-lowering effects of barley and β-glucan: 1) reduction of cholesterol and bile acid absorption from the small intestine, 2) inhibition of cholesterol synthesis in the liver. Barley and β-glucan have therefore been approved as a potential health benefit against the risk of CVD in the United States and Sweden. Recent clinical studies have suggested that the consumption of barley and its products might reduce many risk factors associated with the metabolic syndrome, namely diabetes, hypertension and dislipidemia. This review presents information that will hopefully increase the awareness of professionals and consumers for the health benefits of barley.
著者
山中 千恵美 池上 幸江 青江 誠一郎
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.385-391, 2011 (Released:2012-04-25)
参考文献数
15

カルシウムの摂取量と形態の違いがKKマウスの腹腔内脂肪蓄積に及ぼす影響を比較した。KK/Taマウス3群に, カルシウム含量が0.5%となるように炭酸カルシウム (NC) あるいはミルクカルシウム (MC) を配合した飼料, あるいは, カルシウム含量が0.1%となるように炭酸カルシウム (LC) を配合した飼料をそれぞれ給餌した。終体重, 飼料効率はLC群がNC, MC群に比べて有意に高かった。肝臓脂質蓄積量は, LC群がNC, MC群に比べ有意に高かった。血糖値, 血清インスリンおよびレプチン濃度は, LC群がNC, MC群に比べて有意に高かった。血清PTH濃度は, MC群がLC群に比べて有意に低かった。各腹腔内脂肪組織の重量は, LC群がNC, MC群に比べて有意に増加した。MC群とNC群の間に有意な差は検出されなかった。以上の結果, カルシウムの摂取量の低下は, 腹腔内脂肪蓄積を促進することが認められ, おそらく, インスリン分泌の過剰によると考えられた。しかし, ミルクカルシウムと炭酸カルシウム間では, 腹腔内脂肪蓄積に対して顕著な差は見られなかった。
著者
池上 幸江 梅垣 敬三 篠塚 和正 江頭 祐嘉合
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.275-288, 2003-10-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
88
被引用文献数
3 2

A large number of studies have shown that a diet rich in vegetables may provide protection against many chronic diseases. We reviewed approximately 560 studies published since 1990, divided into four groups: 1) epidemiological studies on a high intake of vegetables, 2) human studies on vegetable ingredients, 3) animal studies on vegetable ingredients, and 4) physiological studies on each vegetable.Many cohort and case-control studies have reported that a higher consumption of vegetables was inversely related to the risk of chronic diseases. This epidemiological evidence has shown the preventive effect on the incidence of cardiovascular disease and on all types of cancer, specifically of cancer of the lung, stomach and colon. This effect has been suggested to be attributable to the ingestion of micronutrients and numerous phytochemicals in vegetables. Some reports have shown the physiological effects on humans of specific ingredients such as carotenoids and flavonoids. Reports on the physiological effects of vegetable ingredients on experimental animals are increasing, the effects on the liver, cancer, immunization, and nervous and circulatory systems having been well investigated. Some vegetables have been reported to possess such physiological functions as anti-cancer, immune-enhancing and hypolipidemic effects.It would appear that major public health benefits could be achieved by substantially increasing the consumption of vegetables. However, the some studies have also shown null and/or negative effects on health from an increased consumption of vegetables. It is therefore necessary to continue searching for scientific evidence about the role of vegetables.
著者
池上 幸江 土橋 文江 中村 カホル 印南 敏
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.447-454, 1991-12-19 (Released:2010-02-22)
参考文献数
26
被引用文献数
1 6

血糖値の変化に対する大麦の影響を明らかにするために正常動物と実験的糖尿病発症動物を用いて検討した。実験にはSprague Dawley系雄ラットを用い, 糖尿病動物はストレプトゾトシン (40mg/kg体重) を腹腔内投与して作成した。実験Iでは4週齢ラットに大麦食, 玄米食, 小麦ふすま食, α-コーンスターチ食を64日間摂取させた。その後すべてのラットを糖尿病とした。糖尿病を発症させた後のラットの体重は大麦食と玄米食のみ増加が見られたが大麦食では飼料摂取量はもっとも低かった。正常期ラットの飼料摂取後およびグルコース負荷後の血糖値は大麦食摂取ラットで低く, 糖尿病発症後でもグルコース負荷後の血糖値は大麦食での抑制が顕著であった。大麦食-糖尿病ラットでは腹腔内へのグルコース負荷でも血糖値の上昇が抑制されており, 体内における糖代謝の改善が認められた。さらに塘尿病発症後の空腹時血糖値は, 25日目には大麦食ではほぼ塘尿病発症前のレベルに回復し, 47日後の血清インスリンはα-コーンスターチ群より有意に高くなっていた。実験IIでは大麦とα-コーンスターチ食を摂取させて, 正常ラットと糖尿病ラットの間で比較した。糖尿病発症後33日目では大麦食ラットは, グルコース負荷後の血糖値の変化はα-コーンスターチ食-正常ラットよりむしろ低くなっていた。以上の結果より, 大麦は糖尿病患者の治療食として用いた場合に糖代謝の改善が期待されることが示唆された。
著者
池上 幸江 山田 和彦 池本 真二 倉田 澄子 清水 俊雄 藤澤 由美子 由田 克士 和田 政裕 坂本 元子
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.285-302, 2008-12-10
被引用文献数
3 7

食品成分表示・栄養教育検討委員会ではこれまで栄養成分表示に関する調査を行い,報告書として発表し,また栄養成分表示や健康強調表示に関するシンポジウムなどを開催してきた。前期の委員会では栄養成分表示と健康強調表示に関する意識調査を多様な対象者について行った。今期はこの調査結果を以前の調査と比較しながら,報告書としてまとめることとした。また,今後は新たな調査も加えて,栄養教育の観点から栄養成分表示や健康強調表示のあり方について,一定の見解をまとめた。本調査では,栄養成分表示,健康強調表示については,特定保健用食品や栄養機能食品,「いわゆる健康食品」について,認知,利用,情報源などについて調査した。その結果,<br>(1) 栄養成分表示は広く見られており,健康維持や増進のために利用されている。しかし,現状の表示は分かりにくく,また対象食品が限られていることから,消費者は改善を望んでいる。これらの結果は前回調査と同様であった。<br>(2) 特定保健用食品の認知度はきわめて高く,利用もされていた。とくに若い世代,学生での認知や利用が高いが,高齢者や生活雑誌読者での利用は低かった。他方,関心のある保健の用途は「体に脂肪が付きにくい」や「お腹の調子を整える」,「腸内環境を整える」などであった。しかし,保健の用途の関心と成分の関連には十分な認識がなく,消費者への情報提供が十分ではないと思われた。<br>(3) 栄養機能食品に対する認知や利用は特定保健用食品に比べると低かったが,世代間の傾向は(2)の特定保健用食品と同様であった。<br>(4)「いわゆる健康食品」の利用については特定保健用食品の利用とは異なる傾向を示した。すなわち年齢階層による差異が少なく,高齢者による利用も高く,特定保健用食品とは異なっていた。<br> 「いわゆる健康食品」に関する情報源はテレビや知人・友人からのものが多く,科学的な根拠の入手が困難な状況にあることを反映している。今後「いわゆる健康食品」の有用性や安全性の確保についてどのような制度を作るかが課題と思われる。
著者
池上 幸江
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.31, pp.647-655, 2021-01-01 (Released:2021-12-16)
参考文献数
14

粘性のある難消化性多糖類5種(ジェランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、グアガム、キサンタンガム)についてラット消化器官に対する影響と粘性の関係について検討した。実験には4週齢のSprague Dawley 系雄性ラットを用い、難消化性多糖類5%を含む飼料とセルロース5%飼料をコントロールとして24日間投与した。 実験1では上記6種の難消化性多糖類飼料を投与し、飼料投与中止後5時間目に解剖し、消化管重量、内容物の重量と粘度、糞重量を測定した。小腸、盲腸の内容物の粘度はキサンタンガム群が最も高く、グアガム群がもっとも低く、難消化性多糖類そのものの粘度とは相関しなかった。また、消化管重量、消化管内容物重量、糞便量にも粘度との関連性は見られなかった。 実験2ではセルロース、ジェランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、キサンタンガムを含む飼料で飼育し、5時間絶食後を0時間として、飼料5gを投与して2時間後に解剖した群を2時間とした。2時間後の胃固形物量は最も粘度の高いキサンタンガム群が他の4群に対し、有意に低かった。 実験3ではセルロース、サイリウムシードガム、グアガムを含む飼料で飼育し、絶食後を0時間として、飼料5gの投与2、5時間後に解剖した。2時間後の胃固形物量は粘度の高いグアガム群が他の2群に比べて有意に低かった。しかし、グアガム群の胃内容物の高粘度は、小腸と盲腸では顕著に低下した。他方、サイリウムシードガム群では胃内容物の粘度は低かったが、盲腸ではグアガム群より高くなった。 以上の結果より、難消化性多糖類を飼料として投与すると、飼料や消化管内容物の粘度は本来の粘度とは異なることがあり、飼料成分や消化管内での物理化学的影響によって変化することが示唆された。また、従来高粘度の難消化性多糖類は胃から小腸への食物の移動を低下させることによって、血糖値低下などの機能が示されると考えられてきたが、本研究は再考が必要であることを示した。
著者
坂本 元子 杉浦 加奈子 香川 芳子 池上 幸江 江指 隆年 倉田 忠男 斎藤 衛郎 鈴木 久乃 八尋 政利 吉池 信男
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.311-317, 2001-10-10
被引用文献数
5 1

食品に含有する栄養成分についての表示が国際的な流れの中で, 急速に, また複雑な形で市場に出回ってきている。そのため, 厚生労働省では「栄養成分表示基準制度」を平成8年に発足し, 国民の普及啓発がすすめられている。食品表示制度の発足と市場にあふれる食品表示情報に対し, 消費者はどのような対応をし, どのように活用しているのか, さらに表示の内容, 方法, それに対する意識について調査をし, 消費者の現状について検討した。表示があることは約70%の人が認知しているが, 毎日の使用はまだ低率である。表示栄養素のニーズは, 主要栄養素を中心に女子ではエネルギー, 脂肪が多く, 男子ではミネラル類が多い。しかし, 日本人に不足している栄養素, カルシウムや鉄分, 過剰なもの, 脂肪やコレステロールについては表示へのニーズが高く見られた。表示の活用目的では男女, 年齢を問わず, 健康上の理由や食べ物に注意が必要なときが多く, 健康意識の高まりや健康維持のために使用を目指す人が多く, とくに高齢者層に多く見られている。栄養成分表示の利用について主要なポイントは,「自分の必要量がわからない」ために, どれくらいとっていいかが不明であるという指摘が見られた。今後の表示内容・方法の検討に重要な示唆となるであろう。
著者
池上 幸江 大澤 佐江子 石井 恵子 本田 節子 永山 スミ子 山口 迪夫
出版者
Japanese Association for Dietary Fiber Research
雑誌
日本食物繊維研究会誌 (ISSN:13431994)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.67-74, 1998-12-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
21

本研究では,とうもろこし水溶性食物繊維(CSD)の血圧に対する影響を中高年男女と高血圧自然発症ラット(SHR)について検討した。用いたCSDは食物繊維含量が83.6%であった。 人に対するCSDの影響は,平均年齢60歳の18人の対象者に4週間,毎食59のCSDを湯又は茶に溶いて摂取させた。対象者は,収縮期血圧140mmHg以上と以下の2群に分けた。6名の軽度高血圧群では,CSDの摂取によって,収縮期血圧と拡張期血圧ともに有意に低下した。正常群では,収縮期,拡張期の血圧に対する影響は明確ではなかった。対象者の血漿脂質とインスリン値には有意な影響は見られなかった。また,軽度高血圧,正常両群ともに,血糖値は正常であった。 SHRラットには,5%CSD溶液を飲料水として投与し,コントロール群は蒸留水を投与し,固形飼料を投与して10週間飼育した。その結果,飼育開始1週目より,水投与群より5%CSD群の血圧の上昇は有意に抑制された。体重,肝臓などの臓器重量は両群に差はなかったが,消化管重量は有意に重く,脂肪組織は有意に小さかった。血清脂質,血糖値,インスリンには有意な影響はなかった。 これらの結果より,とうもろこしより精製した水溶性食物繊維には高血圧状態の改善の可能性が示されたが,臨床的な有効性については,その作用機構も含めてさらに検討が必要である。