著者
江木 鶴子
出版者
九州工業大学
巻号頁・発行日
2009

九州工業大学博士学位論文(要旨) 学位記番号:情工博甲第225号 学位授与年月日:平成21年6月30日
著者
江木 鶴子 前田 直樹 長田 一興
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.1742-1753, 1996-10-25
被引用文献数
1

本論文は,学生プログラマのプログラム生成過程の認知科学的な分析に基づいて構築されたプログラム生成過程モデルを提案する.学生プログラマは,保持しているプログラミングプランを与えられた課題を実現するためだけでなく,プログラム生成を合理的に進める目的にも用いる.本論文では,前者の目的を課題ゴール,後者を戦術ゴールと称する.本モデルは,基本的にはPROUST[12]のゴール/プランモデルを踏襲したゴール主導のモデルであるが, PROUSTでは課題ゴールだけを前提にしているのに対して,本モデルではこれら2種類のゴールの使用を考慮している点が異なる.これにより学生プログラマのプログラム生成過程時の思考錯誤的な振舞いをより正確に表現することができる.本論文では,学生プログラマが用いた戦術をプログラム生成計画,仮プラン策,後回し策,ゴール変更策,調査確認策,奇襲策,安全無策,復帰策に分類し分析した.その結果として戦術プランを使用する意図が,(1)プログラム生成過程で使用したプランを確認し定着させる,それにより(2)プログラム生成過程を促進させる,更に(3)プログラム生成過程を後退させない,などであることを述べる.
著者
江木 鶴子 竹内 章
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.369-381, 2009

トレース技術はエキスパートの道具であるだけでなく,プログラミングの学習者にとっても学習を効果的に進めるためには早期に習得することが望ましい.筆者らは,プログラミングの最も初期段階の学習者にトレースを指導するデバッグ支援システムDESUSを開発し,実際のプログラミング教育で使用した.本論では,実践教育で得られたデータを基にDESUSのトレース教育に関する評価について論じる.DESUSに支援を求めた学習者は利用者の92%で,実際にトレースの実行を試みた学習者は52%であった.学習者のうち36%がトレース技術を獲得しており,DESUSの指導により学習したと断定できるのは,32%であった.いずれもDESUSを使用していない環境下での学習に比べ増加した.一方,支援を受けたにも関わらずトレースを試みなかった学習者が40%を占めた.この最も大きな要因は,実行状態で受けるべきトレース指導を翻訳エラーの状態で受けていたことであった.