著者
秋山 一男 三上 理一郎 可部 順三郎 江頭 洋祐 岩田 猛邦 田口 善夫 赤木 克巳 竹山 博泰 羽間 収治 浜野 三吾 河田 兼光 信太 隆夫 三島 健 長谷川 真紀 前田 裕二 永井 一成 工藤 宏一郎 佐野 靖之 荒井 康男 柳川 洋 須藤 守夫 坂東 武志 平賀 洋明 上田 暢男 宮城 征四郎 中村 晋
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.727-738, 1992
被引用文献数
15

我が国における成人気管支喘息の実態を, 主として患者へのアンケートを中心に調査し, 小児発症群と成人発症群及び成人再発群の3群に分類しその比較を試みた. 1) 成人喘息に占めるそれぞれの頻度は小児発症群11.1%, 成人発症群77.3%, その他11.6% (成人再発群3.7%及び不明) であった. 2) 成人喘息に占める小児発症群は年齢と共に激減し, 一方成人発症群は年齢と共に増加し50歳以後では90%以上を占めた. 3) 小児発症群では男, アトピー型, アレルギー疾患既往・合併症, 軽症例, 夜間外来受診歴, 発作時O_2吸入・人工呼吸歴の頻度が成人発症群に比べて有意に高く, 他方成人発症群では感染型, 薬剤常用者, ステロイド常用者, 重症, アスピリン過敏症の頻度が小児発症群に比べて高かった. 4) 成人再発群は小児発症群と成人発症群との中間に位置する群と考えられた. 5) 以上より発症年齢を基準とする分類法が現時点で臨床上分類が容易かつ曖昧さが少ない点より, 成人にみられる気管支喘息を小児発症喘息・成人発症喘息・成人再発喘息の3群に分類する新しい分類法を提唱した. この分類は今後成人喘息の病因・病態の解明に有用と考える.
著者
江頭 洋祐
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.283-289, 2007-04-01

東洋医学/漢方診療は検査技術のない時代に中国や日本で発達した医療体系である.そこでは患者との対話を中心として診療方針が決定されていた.最近,現代医学のあまりにも自然科学的なEBM(evidence based medicine)への偏りに対して改めてNBM(narrative based medicine: ナラティブ・アプローチ)の重要性が提唱されている.昔の中国医学の古典(素問,他)を検討してみると,NBMとしての診療記録が数多く発見される.具体的には素問にある移精変気法の記述や,戦国時代の名医文摯が斎の国王を怒らせて治癒せしめたとの記録などがある.日本でも江戸時代後期の和田東郭や,現代の漢方のエキスパートである大塚敬節らも,NBMとしての診療を実践しているいくつかの診療録がある.この研究を通じて,東洋医学/漢方診療こそ昔からNBM的アプローチによって心身医学的診療を実践していたことが確認できた.