著者
池田 岳大
出版者
一般社団法人 日本キャリアデザイン学会
雑誌
キャリアデザイン研究 (ISSN:18802753)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.19-31, 2022 (Released:2022-11-02)

This study examined gender differences in career mobility in professions with a high proportion of men and in professions with a high proportion of women using 2017–2021 Japanese Panel Study of Employment Dynamics data (JPSED). The results of the mobility table and multivariate analysis found that although there were no gender differences in the turnover rates of professions with a high percentage of women (regular employment), the turnover rates of women in professions with a high percentage of men (regular employment) were much lower than the turnover rates of men. As age increased, the gender gap in professions with a high percentage of men became larger, arguably due to the impact of life events such as marriage and child-rearing. Previous studies have demonstrated an equalization of the sex ratio in professions with a high percentage of men. However, the analysis in this study revealed that many more women than men leave professions with a high proportion of men in the course of their careers, resulting in the re-segregation of gender roles, thus, maintaining the gender system within the organization. Conversely, men in professions with a high proportion of women were not found to be disadvantaged in career mobility.
著者
池田 岳大
出版者
日本STEM教育学会
雑誌
STEM教育研究 : 論文誌 (ISSN:24346438)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.3-12, 2023-02-10 (Released:2023-02-23)

本研究は,大学での専攻分野検討時期と実際に選択した専攻分野との関連およびその性差を分析することで,大学における専攻分野の性別分離がいかにして形成されるか検討する。特に,社会構造としてのジェンダー秩序の存在によって,男女それぞれが性少数派の専攻分野に進学する際には専攻分野検討時期の遅れがみられるか否か,四年制大学に通う大学生の個票データを用いた計量分析によって実証する。 分析の結果,性少数派の専攻分野への進路選択,具体的には男性比率の高い専攻分野へ進学する女性(もしくはその逆のパターン)においては,性多数の専攻分野への進路選択をする男女よりも専攻分野検討時期の遅れがみられた。この結果は,性多数派の進路では周囲への同調による進路選択の早期化,性少数派の進路においては葛藤による進路選択の遅延化といったジェンダー秩序による影響であると考えられ,専攻分野の性別分離を帰結することが示唆される。
著者
池田 岳大 濱本 真一
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.139-149, 2019-08-30 (Released:2021-02-26)
参考文献数
19

本研究では,無業リスクに関する高校学歴格差とその趨勢について検討する.先行研究では,高い職業的地位への到達可能性において職業科トラックは普通科トラックよりも下位に位置付けられる一方で,職業科トラックが無業リスクを軽減するセーフティネットとしての機能を果たす可能性も指摘されている.この機能は,人的資本論的な教育効果として説明されるのか,それとも「日本的高卒就職システム」のマッチングシステムとして個人の教育年数のみでは捉えきれない質的差異により説明されるのか,検討の余地が残る.以上を踏まえ,調査データを用いて無業リスクに関する普通科,職業科の違いとその趨勢を検討した.分析の結果から,①初職入職時の間断リスクにおいては普通科に比して職業科の優位性がみられるものの,一度職業に就いた後の無業移行リスクに両者の違いはみられない,②工業科からの進学など一部の職業科では,中等後教育への進学はむしろ無業リスクを高める,③これらの構造は,高卒無業者の増加した1990年代以降も状態は大きく変化していない,という3点が分かった.すなわち職業科トラックのセーフティネット機能は間断リスクの低さでみられ,また無業移行リスクの結果も鑑みると,この機能は人的資本論的なミクロレベルの説明よりも,「日本的高卒就職システム」のマッチングシステムというメゾレベルの説明がより妥当であると結論づけられる.
著者
池田 岳大
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.47-57, 2015-07-16 (Released:2018-03-28)
参考文献数
28

女性が各キャリア段階において形成した人的資本は,必ずしも再就職の際に有効に機能しないことが先行研究において示されてきた.しかし,いまだ未検証な人的資本の指標として職業資格があり,人的資本理論やシグナリング理論に基づいて考えると,その独自の効果が期待される.そこで本稿では,再就職移行に際して職業資格とその取得時期が他の人的資本の指標とは異なる独自の効果をもちうるのか検証した. データは2005年SSM調査を使用し,そのうち結婚・出産を機に離職した女性の再就職移行に関して,離散時間ハザードモデルを用いて推定を行った.主な結果として,(1)入職以前の人的資本の指標となる最終学歴は効果をもたないこと(2)入職後の人的資本の指標となる職業経験の効果は一貫したものではないこと(3)入職後に職業資格を取得した者は再就職に移行しやすく,そのほとんどが20年以内に再就職していること(4)入職後の職業資格の効果は,他の人的資本の指標となる変数を統制したうえでも独自の効果をもつことが示された.この結果,職業資格には女性の再就職移行において,特定の職業との結びつきを高める可能性や,採用側との情報の非対称性を埋め合わせる効果が期待される.