著者
仁木 登 河田 佳樹 鈴木 秀宣
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.128-131, 2016

日本人の3人に1人はがんで死亡している.近年,CTの革新的な進歩により,がんの検診・診断・治療において三次元CT画像は中心的な役割を果たしている.肺がんの低線量CT検診の有効性・安全性・経済性が示され,普及しつつある.三次元CT画像を読影する医師の負担が問題となっている.肺がんCT検診における読影の効率化や診断能の均一化を実現するための,コンピュータ支援検出/診断システムの研究開発が進められている.本講座では,肺がんCT検診のコンピュータ支援診断の現状と課題について述べる.
著者
山本 拓弥 久保 満 河田 佳樹 仁木 登 大松 広伸 柿沼 龍太郎 金子 昌弘 森山 紀之 江口 研二 森 清志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.172, pp.43-48, 2000-07-03
被引用文献数
6

肺がん集団検診で撮影された撮影日時の異なる2つのヘリカルCT画像のスライス差を, 自動的に算出する比較読影システムについて述べる.横隔膜部分は吸気量によって横隔膜の形状が異なるので, 肺形状を用いた従来のスライス差算出アルゴリズムでは横隔膜部を正確に合わせることが困難であった.そこで本研究では肺野領域における血管情報を使ったテンプレートマッチングによるスライス差算出アルゴリズムを作成し, 従来の手法と比較を行い, 有効性を示す
著者
戸崎 哲也 河田 佳樹 仁木 登 大松 広伸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1327-1338, 1999-08-25
参考文献数
22
被引用文献数
82

近年, ヘリカルCT技術の開発により, 3次元CT画像診断に大きな関心と期待がもたれている. この中で, 計算機を活用した3次元CT像を解析する手法が求められている. ここでは, 肺がん診断に有益な情報を提供する胸部3次元CT像の解析法について述べる. 肺野領域は気管支, 肺動脈, 肺静脈などの臓器から構成され, 肺がんなどの病変が存在しているとそれらが複雑に絡み合った状態となっている. そこで, 胸部3次元CT像から解剖学的知識と3次元画像処理手法を用いて気管支, 肺動脈, 肺静脈を抽出して分類し, これらと肺がん候補との関係を呈示する手法について述べる. 肺野内臓器の抽出は, バイアス成分除去, 気管支・肺血管の抽出2気管支と肺血管の分離, 肺血管の肺動脈と肺静脈の分離からなる. また, 肺がん候補とそれに接触する肺野内臓器との関係を数値的に呈示する. これらを健常肺及び肺がんの3次元CT像に適用して有効性を示す.
著者
山本 拓弥 久保 満 河田 佳樹 仁木 登 大松 広伸 金子 昌弘 柿沼 龍太郎 森山 紀之 江口 研二 森 清志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.576, pp.77-82, 2003-01-16
被引用文献数
2

我が国の部位別がん死亡率の第一位は肺がんであるため,その死亡率減少を目的とした肺がんCT検診に大きな関心が寄せられている.これは同一被検者の撮影日時が異なる2つのCT画像を用いて比較読影を行い,経過観察することにより早期肺がんの診断をしている.この問題点は,読影の準備と大量の画像を読影することが,専門医に大きな負担となることである.この問題点を解決するため,同一被検者の複時相間の画像データを検索し,対応する画像同士の体軸方向の位置を合わせる処理が必要となる.本研究では集検用CT画像データを用いて,肺容量の経時変化の解析を行い,その結果に基づいて画像位置合わせアルゴリズムを作成,有効性を示す.
著者
山本 拓弥 久保 満 河田 佳樹 仁木 登 大松 広伸 柿沼 龍太郎 江口 研二 森 清志 金子 昌弘 森山 紀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.213, pp.13-18, 2003-07-11
被引用文献数
2

我が国の部位別がん死亡率の第一位は肺がんであるため,その死亡率の減少を目的とした肺がんCT検診に大きな関心が寄せられている.これは同一被検者の経時CT画像を用いて経過観察することにより比較読影を行い,早期肺がんの診断をしている.この問題点は,読影のための準備と大量の画像を読影することが,読影医師に大きな負担となることである.そこで効率良く比較読影が行えるシステムの開発が望まれている.本研究では肺容量の経時変化の結果を解析し,その結果を元に構築した比較読影用位置合わせアルゴリズムを提案する.解析結果から,肺血管情報を基準としたテンプレートマッチングによる位置合わせアルゴリズムを構築し実験を行う.
著者
財田 伸介 久保 満 河田 佳樹 仁木 登 大松 広伸 森山 紀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.134-145, 2004-01-01
被引用文献数
22

近年,マルヂスライスCTの開発により全肺野の3次元断層像を短時間,高精度に得ることが可能になった.特に体軸方向の分解能の飛躍的な向上により3次元的な画像解析に期待が寄せられている.本論文ではマルチスライスCT画像から肺の葉間数を抽出するアルゴリズムについて述べる.臨床において葉間数は肺区域の同定に重要とされる臓器である.葉間数は非常に薄い膜状の構造をしている.本手法は,葉間数の存在する領域の特定と葉間数の強調処理を行って抽出する.これらには葉単位に分類された肺血管からの3次元距離値を用いることで葉間数の存在する領域の特定を行う.次に強調された面陰影の法線ベクトルを用いた領域拡張処理を行い葉間数を抽出する.本手法を臨床画像20例に適用し,精度を評価して有効性を示す.
著者
河田 佳樹 仁木 登 隈崎 達夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.1134-1145, 1996-06-25
被引用文献数
55

血管障害は, 心臓病や脳卒中に関連して死亡数の大きな疾病である. この診断や治療のためには微妙な動脈瘤や狭窄の位置, 形態, 大きさなどの定量的な血管の解剖学的情報が求められる. 本論文では, コーンビームCTで計測した高精度な3次元血管画像を用いて血管の診断や治療を支援する3次元血管像処理アルゴリズムについて述べる. コーンビームCTはX線源と2次元検出器からなる高速回転撮影装置で撮影したコーンビーム血管造影画像からショートスキャンのコーンビーム画像再構成法を用いて3次元血管再構成画像を得るものである. 3次元血管像処理アルゴリズムはこの3次元血管再構成画像から血管走行方向の抽出, 血管断面積の計測, 血管経路の選択や経路の距離計測, 病変形態の表示や容積の計測を可能にするものである. これらは3次元2値血管画像の細線化や血管芯線のグラフ表現抽出に基づいている. これらを患者の3次元血管再構成画像に適用し, 血管の診断や治療計画を支援することに有効であることを示す.