著者
増間 弘祥 南⾥ 佑太 河端 将司 野﨑 康平 澁⾕ 真⾹ 前⽥ 拓也 代⽥ 武⼤ ⼆瓶 愛実 相川 淳 岩瀬 ⼤ ⾼野 昇太郎 福⽥ 倫也
出版者
一般社団法人 日本運動器理学療法学会
雑誌
運動器理学療法学 (ISSN:24368075)
巻号頁・発行日
pp.202213, (Released:2023-06-12)
参考文献数
26

【⽬的】⼈⼯膝関節全置換術(以下,TKA)後の患者における術後14 ⽇以内の⾃宅退院可否と術前歩⾏速度の関連を明らかにすること。【⽅法】対象は2016 年4 ⽉〜2021 年3 ⽉までにTKA を施⾏された294 例とした。対象者を術後14 ⽇の⾃宅退院を基準に早期退院群と遅延転院群の2 群に分類した。対象者に対して術前歩⾏速度を調査し,2 群間で⽐較を⾏った。さらにロジスティック回帰分析により術前歩⾏速度が術後14 ⽇以内の⾃宅退院を困難とするリスク因⼦となるか検討を⾏った。【結果】遅延転院群の術前歩⾏速度は早期退院群と⽐較して有意に低下していた。さらに,術前歩⾏速度は術後14 ⽇以内の⾃宅退院を困難とするリスク因⼦となることが分かった(オッズ⽐:0.09,95%CI:0.03–0.32)。【結論】TKA 後の患者において,術前歩⾏速度の評価は術後14 ⽇以内の⾃宅退院可否を予測する上で有⽤であることが⽰唆された。
著者
増間 弘祥 南⾥ 佑太 河端 将司 野﨑 康平 澁⾕ 真⾹ 前⽥ 拓也 代⽥ 武⼤ ⼆瓶 愛実 相川 淳 岩瀬 ⼤ ⾼野 昇太郎 福⽥ 倫也
出版者
一般社団法人 日本運動器理学療法学会
雑誌
運動器理学療法学 (ISSN:24368075)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.7-13, 2023 (Released:2023-09-30)
参考文献数
26

【⽬的】⼈⼯膝関節全置換術(以下,TKA)後の患者における術後14 ⽇以内の⾃宅退院可否と術前歩⾏速度の関連を明らかにすること。【⽅法】対象は2016 年4 ⽉〜2021 年3 ⽉までにTKA を施⾏された294 例とした。対象者を術後14 ⽇の⾃宅退院を基準に早期退院群と遅延転院群の2 群に分類した。対象者に対して術前歩⾏速度を調査し,2 群間で⽐較を⾏った。さらにロジスティック回帰分析により術前歩⾏速度が術後14 ⽇以内の⾃宅退院を困難とするリスク因⼦となるか検討を⾏った。【結果】遅延転院群の術前歩⾏速度は早期退院群と⽐較して有意に低下していた。さらに,術前歩⾏速度は術後14 ⽇以内の⾃宅退院を困難とするリスク因⼦となることが分かった(オッズ⽐:0.09,95%CI:0.03–0.32)。【結論】TKA 後の患者において,術前歩⾏速度の評価は術後14 ⽇以内の⾃宅退院可否を予測する上で有⽤であることが⽰唆された。
著者
河端 将司 加賀谷 善教 島 典広 西薗 秀嗣
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.225-234, 2008-04-01 (Released:2008-08-13)
参考文献数
38
被引用文献数
6 4

This study examined changes in intra-abdominal pressure and trunk activation during drop jump and the influence of those factors on performance. Intra-abdominal pressure (IAP) and surface electromyography (EMG) activity from the rectus abdominis (RA), transversus abdominis-internal oblique (TrA-IO) and erector spinae (ES) muscles were measured in seven males (22.3±1.0 years) during double-leg drop jumps from a 0.4 m height. Development of IAP (ΔIAP) and normalized rmsEMGs were calculated in the pre-contact, impact and push-off phases, after divided by ground reaction force data. TrA-IO activation which occurred prior to ground contact were the earliest and strongest compared to other muscles activation during each phase.ΔIAP during the impact phase coincided with the peak vertical force. There were significant positive correlations between ΔIAP, TrA-IO activation and vertical force per weight. In addition, the contact time correlated negatively with ΔIAP, TrA-IO activation and vertical force per weight. These findings indicate that ΔIAP and TrA-IO activation may contribute to trunk stability and efficient landing during double-leg drop jump.
著者
河端 将司 島 典広 久保田 武美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0122, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】理学療法の領域を超えて様々な呼吸法を用いた運動療法が行われている。例えばピラティス式呼吸法や長息法など胸腹部横隔膜を活性化させることで健康増進や腰痛予防を期待するものがある。またスポーツ動作ではタックルのように瞬間的に息む競技や,水泳や走行のように持続的な腹部緊張を保ちつつ継続的な呼吸が求められる競技がある。このように様々な呼吸法が存在するが,それぞれの呼吸時の腹部筋活動の程度や,それに伴って生じる腹腔内圧の上昇量を定量化したデータは見当たらない。本研究では,様々な呼吸法における腹部筋活動と腹腔内圧の観点から呼吸特性と強度を明らかにし,それをもとに運動処方に有用なトレーニング方法と強度について検討することを目的とした。【方法】健常男子大学生8名(20±1歳,170±3cm,64±4kg)を対象にした。全対象者は端座位にて,以下の7種の呼吸法を行った。①安静呼吸(以下,「安静」),②口すぼめ強制長呼息(以下,「強制呼気」),③腹式呼吸(以下,「腹式」),④ピラティス呼吸(以下,「ピラ式」,腹部凹みのまま胸式呼吸を続ける呼吸法),⑤吹き矢様の口すぼめ強制短呼息(以下,「吹き矢」),⑥最大下いきみ3秒(以下,「長息み」),⑦タックル様いきみ(以下,「短息み」)とした。腹腔内圧の測定は,直径1.6mmカテーテル型圧力センサー(Millar社製)を用いて肛門から約15cmの直腸圧を測定し,最大怒責時のIAP上昇量(差分)で正規化した(%IAP)。腹部筋活動の測定は,表面筋電図(日本光電社製)を用いて,腹横筋-内腹斜筋複合部(以下,「TrA-IO」,上前腸骨棘から約2cm内下方),外腹斜筋(以下,「EO」,臍と前腋窩線の交点)の右側2筋のRoot Mean Square(RMS)値を算出し,各筋の最大等尺性筋収縮時のRMS値で正規化した(%MVC)。呼吸流量は流速計(Acro System社製)とマスク(Hans Rudolph社製)を用いて採取した。呼吸流速データから吸気相と呼気相に分け,各相のIAP上昇量と筋活動量の同一3試技の平均値と標準偏差を算出した。一元配置分散分析および多重比較(Tukey法)を用いた。有意水準は5%未満とした。【結果】呼気量に主効果を認め(p<0.05),安静(0.7±0.3 L)はそれぞれ強制呼気(3.8±1.3 L)と吹き矢(1.9±1.1 L)に有意差を認めた(p<0.05)。腹腔内圧は呼気相のみ主効果を認め(p<0.05),安静(1.9±0.9%IAP)はそれぞれ強制呼気(31.4±9.3%IAP),吹き矢(29.3±6.3%IAP),長息み(46.7±21.1%IAP),短息み(64.3±14.3%IAP)と有意差を認めた(p<0.05)。TrA-IOとEOは吸気相呼気相ともに主効果を認め(p<0.05),吸気相では安静(TrA-IO:4.2±1.9,EO:1.8±0.9%MVC)とピラ式(TrA-IO:31.3±25.9,EO:7.0±7.3%MVC)のみ有意差を認めた(p<0.05)。一方,呼気相では安静(TrA-IO:4.2±1.9,EO:1.9±1.2%MVC)はそれぞれ強制呼気(TrA-IO:45.6±34.7,EO:10.1±3.3%MVC),長息み(TrA-IO:42.6±21.4,EO:12.9±8.8%MVC),短息み(TrA-IO:41.9±20.3,EO:13.2±6.7%MVC)と有意差を認めた(p<0.05)。【考察】まず今回の呼気量の結果より,7種の呼吸法は概ね妥当な呼気量で遂行されたと見なすことができた。腹腔内圧は呼気を強調した時に有意に上昇し,特に息む呼吸法で顕著であった。例えば短息み時の64%IAPは高重量物挙上時と同等であり(筆者先行研究。2010, 2014),タックルなど瞬間的に息む場面では腹腔内圧の増大に有利な呼吸法であることが示された。TrA-IOは吸気相でピラ式が有意に高活動を呈した。これは吸気時でも腹部凹みを維持し続けるという課題によって腹部が等尺性収縮(一部伸張性収縮)を要求されたことに起因すると考えられた。また呼気相では強制呼気が最も高活動を示したことから,TrA-IOのトレーニング強度について考えれば,ピラ式と強制呼気の混合型が効果的な刺激をもたらすかもしれない。EOもTrA-IOと同様の筋活動パターンを示したもののTrA-IOに比べると変化量が極めて小さいため,呼吸法による影響は直接的ではないと思われた。したがって,腹腔内圧の増大を伴う腹筋強化には瞬間的に息むような呼吸法,一方,腹部の持続的な筋緊張を維持するにはピラ式と強制呼気を混合させた呼吸法が有用かもしれない。【理学療法学研究としての意義】本研究は腹部筋活動と腹腔内圧の観点から,様々な呼吸法の特性と強度を明らかにした最初の基礎データであり,その参考値は運動やトレーニングの処方において有益な示唆をもたらすと考える。また理学療法の領域をまたぐ知見として活用できると思われる。