著者
後藤 実世 福島 庸晃 伊藤 真 飯田 しおり 河村 優磨 鵜飼 俊 佐合 健 河野 彰夫 尾関 和貴
出版者
一般社団法人 日本造血・免疫細胞療法学会
雑誌
日本造血・免疫細胞療法学会雑誌 (ISSN:2436455X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.183-189, 2021 (Released:2021-10-20)
参考文献数
13

30歳男性。胃部不快感を契機に,脾腫,白血球増多,LDH高値を指摘され,精査の結果,非定型慢性骨髄性白血病(atypical chronic myeloid leukemia,aCML)と診断された。Hydroxyurea単独の内服では腫瘍量制御が困難であったことから造血幹細胞移植を目的として当院へ転院した。aCMLは化学療法単独での腫瘍量制御が難しく長期生存のため造血幹細胞移植の必要性が報告されており,速やかに造血幹細胞移植を行う必要があると判断した。骨髄・臍帯血バンクでは適切なドナーが得られずHLA半合致の姉をドナーとした末梢血幹細胞移植を行う方針とした。移植前の架橋的治療としてazacitidine導入後より速やかな白血球数および血清LDHの低下を認めた。Azacitidine投与開始から18日目に前処置を開始し,24日目に移植を施行した。移植後17日目に好中球生着を認めた。皮膚GVHDを発症したが外用で改善し,移植後1年現在も完全寛解を維持している。aCMLに対してazacitidine療法後にHLA半合致末梢血幹細胞移植を行い,寛解を維持している症例は稀である。
著者
河野 彰夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.579-585, 1988

世の中はレトロブームであるという。物理学の世界でもすでに研究し尽くされたと思われていた古めかしい分野が, 学問の展開につれて新しく見直されることがある. たとえば, ガラスや陶磁器のようにはるか紀元前から用いられてきた材料であったセラミックスも, 高温超伝導という"ころも"を被ることで, 一躍して最先端材料に変身してしまった. 本稿でとりあげる摩擦現象も, その一例かもしれない. いわゆるナノ・テクノロジーの進歩につれて, ある種の摩擦を伴う機械の巨視的運動に対し, 摩擦面に働く分子間力の性質そのものが直接的影響を及ぼすことが明らかになってきた. つまり, 摩擦現象を根源的に理解しようとすると分子間力の性質の解明が不可欠の要件になってきたのである.
著者
宇根底 亜希子 河野 彰夫 冨田 敦和 石榑 清 杉村 鮎美 佐藤 一樹 安藤 詳子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.187-193, 2018 (Released:2018-05-11)
参考文献数
20
被引用文献数
1

【目的】ゲムシタビン(GEM)による血管痛の関連要因を明らかにする.【方法】2014年6月~2015年5月にGEMを末梢静脈より投与した患者の投与記録を抽出し,患者背景および投与状況と血管痛の関連について後方視的解析を行った.【結果】すべての項目に記載のある延べ400件(患者数50名)を対象とした.血管痛は79件(19.8%)に生じており,血管痛の関連要因は,性別(女性>男性),年齢(65歳未満>75歳以上),BMI(25 kg/m2以上>25〜18.5 kg/m2>18.5 kg/m2未満),剤形(液剤>凍結乾燥製剤),投与部位(手背部>前腕部>上腕および肘窩部)であった.【考察】血管痛を避けるためには上腕および肘窩部からの投与が推奨され,血管痛の関連要因を有する患者では,温罨法などの予防策を積極的に講じることが望ましい.