著者
石田 直子 石榑 清 加藤 公一 林 直美 平井 敦 福山 隆一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.2588-2591, 2010 (Released:2011-04-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

症例は68歳,男性.嘔吐,腹部膨満感を主訴に受診.画像検査で著明な胃拡張を認めた.経鼻胃管で減圧をはかったが,まもなく急激な腹痛を訴え腹膜刺激症状が出現した.再度の画像検査で多量の腹腔内遊離ガス像と腹水が認められ,上部消化管穿孔の診断の下緊急手術を施行した.胃体部に裂創を認め,腹腔内は食物残渣で広範に汚染されていた.裂創部を含む胃部分切除と腹腔洗浄ドレナージを行った.術後ショック状態に陥り集中治療を要した.胃の過膨張に伴い破裂が生じた本症例は,発症直後から腹腔内が広範に汚染され重篤な汎発性腹膜炎に陥ったが早期手術施行により救命することができた.
著者
宇根底 亜希子 河野 彰夫 冨田 敦和 石榑 清 杉村 鮎美 佐藤 一樹 安藤 詳子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.187-193, 2018 (Released:2018-05-11)
参考文献数
20
被引用文献数
1

【目的】ゲムシタビン(GEM)による血管痛の関連要因を明らかにする.【方法】2014年6月~2015年5月にGEMを末梢静脈より投与した患者の投与記録を抽出し,患者背景および投与状況と血管痛の関連について後方視的解析を行った.【結果】すべての項目に記載のある延べ400件(患者数50名)を対象とした.血管痛は79件(19.8%)に生じており,血管痛の関連要因は,性別(女性>男性),年齢(65歳未満>75歳以上),BMI(25 kg/m2以上>25〜18.5 kg/m2>18.5 kg/m2未満),剤形(液剤>凍結乾燥製剤),投与部位(手背部>前腕部>上腕および肘窩部)であった.【考察】血管痛を避けるためには上腕および肘窩部からの投与が推奨され,血管痛の関連要因を有する患者では,温罨法などの予防策を積極的に講じることが望ましい.
著者
米山 京子 石榑 清司 池田 順子 永田 久紀
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.587-594, 1984
被引用文献数
1

尿中Hydroxyproline(H.P)およびクレアチニン排泄量の日々の変動ならびに,蛋白質摂取量との関係を健康な大人5人(女2人と男3人)を対象として,連続する17∼42日間について,昼間と夜間の排泄量を分けて検討した。次の結果が得られた。<br>1.尿中H.PおよびH.P/クレアチニンの日間変動は5人ともかなり大きかった(変異係数はH.P:12.6∼19.8%,H.P/クレアチニン:13.2∼19.5%)。クレアチニンの日間変動はH.Pよりはるかに小さかった(変異係数3.6∼8.5%)。これらの物質の時系列データの自己相関分析では,一定の変動パターンは見られなかった。<br>2.5人中4人で,昼間と(又は)夜間の尿中H.Pは当日又は1∼2日前の蛋白質摂取量と有意の正の相関が見られた。この結果は,尿中H.P排泄量は食事中の蛋白質摂取量によって影響されうることを示唆している。<br>3.尿中H.Pの昼間と夜間の排泄量の相違は5人ともわずかであった。
著者
渡邉 卓哉 石榑 清 藤岡 憲 堀場 隆雄 平井 敦 伊藤 洋一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.175-178, 2008 (Released:2008-05-15)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2 1

症例は70歳,男性.幼少時より軽い臍炎を繰り返していた.平成4年4月,臍から下腹部腹壁に膿瘍を形成したため,尿膜管遺残膿瘍と診断され臍,尿膜管全摘術を施行された.病理組織学的検索で腺癌を認めたため,再手術により膀胱周囲の尿膜管遺残組織と思われる部分および膀胱頂部を追加切除されたが,癌組織は認められなかった.その後平成10年4月に臍摘出部の硬結,平成11年1月に右鼠径リンパ節の腫大,平成18年4月に右下腹部腹壁の硬結,両鼠径リンパ節の腫大をきたし,局所再発が疑われ腫瘍摘出術を施行された.いずれも病理組織学的検索で,再発と診断された.平成18年8月に両側多発肺陰影と縦隔リンパ節の腫大を認めたため,多発肺転移が疑われた.テガフール・ギメラシル・オテラシル配合剤による化学療法を8クール施行されたが,多発肺陰影の大きさは変化しておらず,現在も継続治療中である.