- 著者
 
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             丸橋 隆行
             
             須佐 梢
             
             西本 奈津美
             
             菅井 貴裕
             
             横濱 章彦
             
             定方 久延
             
             河野 美幸
             
             梶田 幸夫
             
             深石 孝夫
             
             野島 美久
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.58, no.4, pp.533-538, 2012 (Released:2012-09-10)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 14
 
          
          
        
        
        
        母親が抗D抗体を保有し胎児がRh0(D)陽性の場合,胎児や新生児が重篤な溶血性疾患を発症することがある.今回我々は,3度目の妊娠,出産であるRh0(D)陰性の妊婦が抗D抗体を保有し,出生したRh0(D)陽性の児が新生児溶血性疾患を発症,交換輸血を施行した症例を経験した.妊娠初期の不規則抗体検査にて酵素法のみ陽性の抗D抗体であったもののその後間接抗グロブリン法も陽性化,徐々に抗体価の上昇が認められ,出産時には2,048倍まで上昇した.出生直後から急激なビリルビン値の上昇とHb値の低下を認め,交換輸血,γ-グロブリン療法,光線療法の適応となった.交換輸血に用いた製剤は,O型Rh0(D)陰性赤血球濃厚液とAB型Rh0(D)陽性新鮮凍結血漿を院内にて混合調整した合成血である.患児はこれらの治療が奏功し軽快,退院した.Flow Cytometryによる解析から,交換輸血直後,患児赤血球はほぼO型Rh0(D)陰性赤血球に置換されていたが,日毎に患児由来のRh0(D)陽性赤血球の割合が増加,86日後では,ほとんどのO型Rh0(D)陰性赤血球は消失していた.輸血された赤血球の半減期は約36日であり,健常人赤血球とほぼ同等であった.