- 著者
-
河野 道宏
- 出版者
- 一般社団法人 日本耳科学会
- 雑誌
- Otology Japan (ISSN:09172025)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.2, pp.142-148, 2019 (Released:2019-11-25)
- 参考文献数
- 26
近年,聴神経腫瘍に対して手術・放射線治療・経過観察が適切に行われるようになり,治療成績は以前に比して明らかに向上している.しかし,依然として,突発性難聴等と診断されて発見が遅れるケースが多く,初発症状から腫瘍の発見まで平均2年半以上かかっているのが現状である(筆者データ).これは,聴神経腫瘍の半数以上が突発型の聴覚症状を呈すること(筆者データ)が広く知られていないことと,除外診断であるはずの「突発性難聴」の診断が検査なしに安易につけられていることに起因するものと考えられる.治療の対象となりやすい若年者には,突発型の聴覚症状には内耳道中心のthin sliceのMRIのスクリーニングを行うべきと考えられる.