著者
川崎 敏生 早瀬 睦 宮腰 明典 多喜 純也 中村 威彦 波多野 武人
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
pp.cr.2015-0002, (Released:2015-04-27)
参考文献数
20
被引用文献数
3 4

【目的】未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術後に造影剤脳症と考えられる2 症例を経験したので報告する.【症例】症例1 は75 歳男性.右前大脳動脈に未破裂動脈瘤を認め,コイル塞栓術を施行直後から左上下肢不全麻痺を認めた.症例2は65 歳女性.未破裂左内頚動脈後交通動脈に対するコイル塞栓術直後から右上下肢不全麻痺と失語を認めた.2 症例共にCT にて患側大脳半球に高吸収域を認めたが,速やかに消失した.MRI では症状を呈するような虚血性病変は認められなかった.全身性痙攣も併発したが,完全に症状は消失し退院となった.【結論】造影剤脳症による合併症は稀ではあるが,血管内治療後の神経症状の原因として注意すべき病態である.
著者
多喜 純也 早瀬 睦 宮腰 明典 北原 孝宏 服部 悦子 中村 威彦 波多野 武人
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳血管内治療 (ISSN:24239119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.14-23, 2016 (Released:2016-10-17)
参考文献数
26

【目的】Penumbra 5MAX ACE を用いて“a direct aspiration first pass technique(ADAPT)”を行った初期経験に基づき,有用性を報告する.【方法】2014 年10 月から2015 年3 月の間に血栓回収療法を行った連続8 症例のうち,5MAX ACE を吸引カテーテルあるいは中間径カテーテルとして用いADAPT を行った7 例を後方視的に解析した.【結果】平均年齢76.9 歳.閉塞部位は中大脳動脈M1 遠位3 例,M2 2 例,脳底動脈2 例.治療前平均National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)16.0,治療開始までの平均時間は315 分.5 例(M1 遠位2 例,M2 1 例,BA 2 例)で5MAX ACE が閉塞部位に到達し,2 例は同軸に用いた3MAXでADAPT を施行.6 例で有効な再開通(Thrombolysis in Cerebral Infarction[TICI] 3 5例,TICI 2b 1 例)を得た.治療24 時間後NIHSS は平均7.7 であった.手技に伴う頭蓋内出血は認めなかった.【結論】5MAX ACE は口径が拡大したが,追従性にも優れており,より安全,有効に血栓回収が行えるものと考えられた.
著者
金中 直輔 佐藤 博明 阿部 肇 根城 尭英 福井 敦 寺西 裕 鳥橋 考一 宮腰 明典 楚良 繁雄 河野 道宏
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.203-208, 2013-05-20 (Released:2013-05-24)
参考文献数
5

要旨:頭痛を主訴に来院した68歳男性.3年間にわたる硬膜動静脈瘻の治療経過において,頭部CTやMRIのFLAIRおよびT2画像にて両側視床に限局した異常信号域を認めた.深部静脈系のvenous congestionによるvenous hypertensionが疑われた.臨床症状として特徴的な視床性認知症を呈していたが,血管内治療により画像的にも臨床的にも改善を認めた.このような適確な診断と治療により可逆的な病態である一方で,時期を逸することで不可逆的な変化を来すこともありうるため,迅速かつ適確な対応が必要な疾患であると考えられた.