著者
河野 高志
出版者
京都府立大学
雑誌
福祉社会研究 (ISSN:13471457)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.91-105, 2007-03

現在ケアマネジメントは、介護保険サービスの提供方法として知られるようになってきたが、そこにはいくつかの間題が指摘されている。そこで本論文では、ケアマネジメントの登場と発展について、アメリカ・イギリス・日本を比較してみることで、各国のソーシャルワークとケアマネジメントの関係性を考察する。そこから、日本のケアマネジメントの問題はソーシャルワークの視点の欠如に起因していることを指摘する。また、ソーシャルワークの歴史のなかにケアマネジメント的機能があったことを明らかにすることで、ケアマネジメントをソーシャルワークのひとつのアプローチとして位置づける必要性を論じ、さらにソーシャルワークにおけるケアマネジメント・アプローチの基本的枠組みを提案する。そして最後に、ケアマネジメント・アプローチの実践展開に向けた課題と今後の展望をあげ、ソーシャルワークの立場からケアマネジメント研究を行う意味を述べる
著者
河野 高志
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.63-74, 2019

<p>本研究は,地域包括ケアシステムにおける多職種連携の方法に関する知見を得ることをねらいに,多職種連携を促進する要因の抽出とそれらの関連の検討を目的とした.質問紙調査は,全国5,053カ所の地域包括支援センターに所属する社会福祉士または主任介護支援専門員を対象に実施した.調査内容は,対象者と地域包括支援センターの基本属性,ケアマネジメントの実施状況,インタープロフェッショナルワークの実施状況,連携の内容,連携の状態で構成した.分析では,回収した1,567名のデータを使用し,主成分分析による連携の要因の抽出と重回帰分析による要因間の関連の検討を行った.その結果,地域包括ケアシステムにおける多職種連携の促進には【チームワークの促進】が最も影響を与え,【チームワークの促進】には【IPW】が最も影響を与えるという関連を明らかにした.</p>
著者
河野 高志
出版者
福岡県立大学人間社会学部
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-17, 2013-07-31

日本のケアマネジメントは従来、制度・政策に組み込まれ、法律の施行と改正によって発展し、また展開されてきた。しかし一方では、利用者の生活を支援するうえで十分なケアマネジメント実践が行われていないという問題が指摘されてきた。その背景にはケアマネジメントとソーシャルワークの乖離という状況がある。この状況は、利用者の生活に寄りそったケアマネジメントの実践方法の未発展や、そこにかかわるソーシャルワーカーの不足という事態を引き起こしてきたのである。 そこで本稿では、こうした問題を解決する糸口を見出すため、ソーシャルワークとケアマネジメントの先進国であるアメリカとイギリスとの比較から、日本のケアマネジメントの問題を明らかにし、それをソーシャルワークとの関係から考察した。そして、その考察をふまえてソーシャルワーカーを活用したケアマネジメント展開の試案を提示し、実現への課題を整理した。