著者
津曲 真一
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.127-148, 2022-09-30 (Released:2022-12-30)

何かに触れることは日常的な行為であるが、それが宗教的な文脈の中で行われると特別な意味を持つことがある。チベット仏教徒にとって接触という行為は、悪果の因となり得る行為であり、また好ましい結果を生み出す行為ともなり得る。彼らは行者の持物や賢者の舎利に触れること、或いは加持された事物に触れることで、様々な願望を成就することができると信じており、また観想実践を通じて意識の中に顕れた対象との接触を通じて、宗教的価値を実現することができると考えている。しかし一方で、チベット仏教の教義に於いては、接触行為および接触体験の虚妄性が強調されることもある。本稿はチベットの宗教文献に広くあたり、接触体験の教理上の位置付けや、宗教実践の中で行われる多様な接触行為について紹介しつつ、チベット仏教における接触の意義とその特殊性について考察を行うものである。
著者
長野 泰彦 菊澤 律子 西尾 哲夫 武内 紹人 高橋 慶治 立川 武蔵 白井 聡子 池田 巧 武内 紹人 池田 巧 高橋 慶治 立川 武蔵 白井 聡子 本田 伊早夫 桐生 和幸 R. LaPolla M. Prins 戴 慶厦 G. Jacques 才譲 太 S. Karmay M. Turin 鈴木 博之 津曲 真一
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2004

チベット・ビルマ語族は、中国・青海省からパキスタン東北部にわたる広い地域に分布する。この語族の歴史はその大枠がようやく明らかになってきたものの、未解読文献言語や記述のない言語が多数残っている。本計画は(1)未記述言語の調査、(2)未解読古文献(シャンシュン語)の解読、(3)チベット語圏の言語基層動態解明、を目標として研究を行い、幾つかの知られていなかった言語を発見して記述、新シャンシュン語(14 世紀)語彙集集成、古シャンシュン語の文法的特徴の抽出、に成功しただけでなく、歴史言語学方法論に接触・基層という視点を導入することの意義に関して提言を行うことができた。