著者
浅利 美鈴 奥田 哲士 切川 卓也 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第29回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.161, 2018 (Released:2018-12-03)

被災した住民の方々(災害廃棄物を出したことのある人)を対象に、発災後の災害廃棄物に関する行動や評価の実態を把握するアンケート調査を実施した。結果、精神的なダメージを受けながらも、提示された分別に従おうとするスタンスが伺えた。他方、分別方法の提示はうまくいっているとは言えず、誤解も多い可能性が高いことがわかった。災害時の分別等に関する情報入手においては、コミュニティ(自治会や隣人付き合い)が重要であり、今後、平時のコミュニティ維持・再生も大変重要な側面となると考えられた。
著者
浅利 美鈴 矢野 順也 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.1, 2015 (Released:2015-10-19)

ネットアンケートを実施し、消費者の食品類の消費・廃棄に関する意識や行動について検討した。 その結果、どの食品類も1割以上、野菜・果物類は36%の人が、ほとんど手をつけないまま廃棄した経験を持つことがわかった。その原因は「食べるつもりだったが、気づくと期限が切れていた」というものが主であったが、買い過ぎや嗜好性も影響していることがわかった。期限切れ等に至る理由としては、冷凍冷蔵庫や食品庫の在庫チェックをこまめに行っていないことが一因と考えられた。期限切れした食品への対応を尋ねた結果、2~3割の人が「開封せずにそのまま捨てる」としている。このように期限表示に頼る傾向が、食品ロス発生を助長していることも確認された。多様な食品ロス削減策に対する評価を尋ねた結果、様々な策の有効性が支持される結果となった。期限表示に応じた値引きの仕組みや、量り売り・適量販売等についても、検討の余地があると考えられた。
著者
柳川 立樹 矢野 順也 浅利 美鈴 平井 康宏 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.28, 2017

本研究では、食品ロス発生抑制行動による環境及び経済への影響を定量化することを目的とし、事業所における食品フロー推計及び食品ロス抑制による市場影響を評価するためのモデル開発を行った。推計対象事業種はスーパー、レストラン、ホテルとした。また、現状のままである基本シナリオ(S1)と発生抑制行動を実施するシナリオ(S2)を比較することで削減コストを推定した。その結果、コスト削減効果は食品廃棄物削減による影響よりも食品仕入量の削減による影響の方が大きく、温室効果ガス削減効果と同様の傾向を示した。全国へ拡大推計した場合には、市場規模に対してレストランで2.8%(2,202億円/yr)という結果となった。このような推計値は、食品ロス発生抑制による経済的便益を勘案するための指標とできる可能性がある。本モデルの精度向上には、摂食率などの不確実性の高い仮定や抑制行動によるコスト増加影響などの調査が必要である。
著者
浅利 美鈴 名倉 良雄 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.310-319, 2019

災害廃棄物対策において,発災時の支援を含む地域間連携・協調の取り組みには,進展がみられた。指針等での役割や体制の整理に加えて,複数の災害において,支援実績や教訓が蓄積されつつある。たとえば,初動時のプッシュ型支援が効果的に働いてきたこと,支援の内容はさまざまであり支援マネジメントが重要であることなどがあげられる。さらに,特に 2018 (平成 30 ) 年に相次いだ災害への支援の速報的情報から分析すると,今後検討が必要な視点も多い。たとえば,支援内容のミスマッチを避けるための事前受援計画が効果的であること,国による支援マネジメントにおいては拠点をどこに置くかも重要であることなどがあげられる。また,今後は,大規模災害のみならず,同時多発的・連続的な通常災害時においても,現在の体制では対応が不十分となる可能性があり,平時からの人材育成や地域ブロック内・間の連携体制検討に加え,司令塔機能を補完する仕組みも検討する必要がある。
著者
浅利 美鈴 西本 早希 安藤 悠太 奥野 真木保 矢野 順也 酒井 伸一
出版者
大学等環境安全協議会
雑誌
環境と安全 (ISSN:18844375)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-10, 2021 (Released:2021-06-13)
参考文献数
28

プラスチック製品や廃棄物、マイクロプラスチックが世界的に大きな課題となり、様々な対策が検討されている。日本においても、2019年5月に「プラスチック資源循環戦略」が策定され、3R+Renewableを基本原則とし、意欲的な数値目標を含むマイルストーンを設定した上で、重点戦略に基づく様々な取組が始まっている。しかし、様々な製品への使用に対する消費者の認識は十分とは言えず、意識・行動の把握も緒に就いたところである。 そこで、幅広く、かつ具体的なプラスチック製品を対象に、消費者や企業、行政等が情報共有を進め、今後の対話や議論につなげることのできる消費者意識・行動の可視化・コミュニケーションツールとして「プラ・イド チャート」を考案した。そのチャートの活用可能性を考察することを目的に、必要なデータをアンケート調査等から得て、プロットした。 「いる/いらない」「避けられる/避けられない」という2軸からなるチャートについて消費者アンケート調査結果を元に階層的クラスター分析を行ったところ、6群に分類され、チャートにおいて、それぞれ現在の消費者意識・傾向が分かり、特に短期的な対策に向けた検討に資する知見が得られた。
著者
浅利 美鈴 丸川 純 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.412-425, 2011 (Released:2016-12-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1

日本における使用済み小形電池の回収方法とその実態を把握し,回収・リサイクル検討に向けた基礎的知見を得ることを目的に,小形電池の回収率を推定した後,使用済み小形電池に関する自治体収集分類等に関する調査,消費者アンケート,小型家電製品からの小形電池取り外し実態調査を行った。その結果,日本における小形電池の回収率は26%と推定され,特に二次電池等は低く,欧州各国と比較しても,向上の余地があると考えられた。また,自治体における収集分類等は,自治体および電池間で統一されておらず,必要な情報発信も不十分と考えられた。小型家電製品からの小型電池取り外し実態に関する調査からは,特に二次電池を利用する小型家電製品について,ほとんど電池が取り外されずに捨てられていることが明らかとなった。これらの背景としては,アンケート調査より消費者の情報・認知不足や負担感が示唆され,検討を要する点が抽出された。
著者
土村 萌 浅利 美鈴 築地 淳 酒井 伸一 ホール ビッキー
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.29, 2018

大洋州島嶼国では、都市での人口増加やライフスタイルの変化によりごみの多様化・大量化が深刻な問題となっている。特にプラスチックごみは海洋に投棄されると、サンゴ礁やマングローブ、漁業、海洋生物などの自然環境に影響を与える可能性がある。そこで、本研究ではサモアの家庭を対象にプラスチック製容器包装の消費と廃棄に関するアンケート調査を行うことによって、サモアにおける家庭の不適正管理プラスチック製容器包装排出量を推定した。その結果、不適正管理排出量は年間約670トンと推定され、特に屋外使用やポイ捨てが比較的高い割合でされるPETボトルやお菓子の袋、レジ袋には注意が必要であるということが分かった。また、不適正管理プラスチックごみ排出量は、都市よりも農漁村のほうが一人当たり年間で約1.3 kg大きいことが分かり、ごみ回収が十分でない農漁村でのプラスチックごみ適正管理も重要であることが示唆された。