著者
浅子 和美 Spencer Christopher 劉 振濤
出版者
岩波書店
雑誌
経済研究 (ISSN:00229733)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.97-114, 2015-04

Asako and Kanoh (1997) 等によって,日本銀行が公表する政策目標が実際にマクロ経済の安定化に役立ったことが計量分析によっても裏付けられているが,こうした評価が,ゼロ金利政策や量的緩和政策といった非伝統的金融政策下でも当てはまるのかを,1990年代以降のデータで検証する.モデル分析からは,新しいデータでは累積国債残高の役割が大きく変わった推計結果が得られ,その背景を検証する.また,金融政策決定会合での委員の投票行動の分析も行い,金融政策の目標設定と政策決定過程の相互関連を考察する.We attempt to identify significant objectives of monetary policy for the period from 1990 to 2013 and compare the results to those obtained by Asako and Kanoh (1997) for an earlier sample period. With the introduction of nontraditional monetary policy management such as zero-interest-rate policy and quantitative-easing policy, we find and examine some important shifts in the role of government bonds modeled by Asako and Kanoh as one of five stabilizing objectives of the monetary policy. We also look into the making of the monetary policy by focusing on the votes by the Bank of Japan Policy Board members.
著者
ウィワッタナカンタン ユパナ 浅子 和美 北村 行伸 小田切 宏之 岡室 博之 伊藤 秀史 福田 慎一 小幡 績 寺西 重郎 伊藤 秀史 福田 慎一 小幡 績 久保 克行
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究プロジェクトは、東アジアにおける企業の大株主のさまざまな役割について明らかにした。企業を支配している大株主は、ファミリー、銀行、政府であり、モニタリング、企業・グループの組織構造、所有・経営権の構造、政界進出等の大株主の行動が、企業パフォーマンスに与える影響を動学的に分析した。これらの企業レベルの行動は、経済政策、経済危機といったマクロ経済レベルにまで影響を与えていることがわかった。
著者
浅子 和美 伊藤 秀史 伊藤 隆敏 加納 悟 宮川 努 渡部 敏明
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、日本経済の適切な政策運営に役立てるために、日本経済の現状をより早く、より的確に把握する体制の確立を目指した。具体的には、景気循環の局面判断の観点からの日本経済の現状分析を行うとともに、経済制度面での歴史的変遷を踏まえた上で、1990年代以降の経済成長率や生産性上昇率の鈍化の原因を解明し、技術革新の活性化や産業構造の転換による日本経済の中長期的パフォーマンスの向上の可能性を探った。景気循環メカニズムの理論的研究や統計学・計量経済学的分析手法の研究も進めた。