著者
浅岡 章一 山本 隆一郎 西村 律子 野添 健太 福田 一彦
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.32, pp.145-152, 2022-03-15

これまで反応時間の計測を伴う認知課題は,専用ソフトウェアがインストールされたPC を用いて実験室等において実施されることが殆どであった。しかし,近年では無料で利用可能な認知課題作成ソフトウェアPsychoPy と,認知実験用サーバーサービスであるPavlovia を組み合わせることなどにより,参加者に自身のPC を用いてインターネットブラウザを通じたオンラインでの認知課題参加を求めることが可能となってきている。本稿では,このPsychoPy とPavlovia の利用に関する著者らの近年の取り組みについて報告するとともに,これらを大学での研究および教育に継続的に利用していくにあたっての管理・運営上の課題についても考察した。
著者
浅岡 章一 藤田 勇次 甲斐 里穂 益田 桃花 福田 一彦
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.30, 2020-03-15

本研究では,睡眠時の姿勢が夢の内容に与える影響について,質問紙調査とREM 覚醒法による夢聴取を用いて検討した。質問紙調査では,一般大学生を対象に普段の睡眠姿勢とともに,見る夢にどのようなものが多いかについて夢特性評定尺度上への回答を求めた。その結果,仰臥位で眠る頻度の高い学生は,奇異性の高い夢や,活動性の高い夢を見る頻度が低いことが示された。また,就寝時に腹臥位であることが多い学生や,覚醒時の睡眠姿勢が側臥位であることの多い学生は,活動性の高い夢を見る頻度が高いことも示された。続いて,同一個人内においてもREM 睡眠中の睡眠姿勢によって報告される夢の特性が異なるかを検討するために,REM 覚醒法を用いた夢聴取データの再解析を行った。その結果,側臥位からの覚醒の際と比較して,仰臥位から覚醒した際に報告された夢の方が,夢の「強烈さ」がより高く評価されている事が明らかとなった。質問紙調査を用いて検討した際と,REM 覚醒法を用いて検討した際で,夢の特性と睡眠姿勢との関連の仕方が異なることから,今後,実験的な手法を用いた更なる研究が必要と考えられた。
著者
杉山 瑠人 浅岡 章一
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.29, 2019-03-15

本研究では,パレイドリアテストの図版を用いて,一般大学生の顔知覚上の特徴に関する個人差を測定し,その結果と超常現象体験報告の有無との関連について検討した。本研究において実施された顔検出課題の結果,参加者の約4 割が本来存在しない顔をノイズパレイドリア図版の中に見いだしていた。そして,そのような参加者においては,宇宙人や幽霊に関わる超常現象を体験したと報告する割合が高い傾向が示された。この結果は,本来顔が存在しない画像の中に顔を見いだしやすいという顔知覚上の特徴が,宇宙人や幽霊に関する主観的超常現象体験を生み出す認知的メカニズムに関わっていることを示唆するものと言えるだろう。
著者
浅岡 章一 福田 一彦 山崎 勝男
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-43, 2007-04-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
46
被引用文献数
4 2

日本人の平均睡眠時間はこの40年間で約1時間短くなっている。この傾向は児童・学生においても認められ, 児童・学生の日中における眠気の訴えは成人よりも強いことが明らかにされている。このような睡眠時間短縮に代表される睡眠習慣の悪化は, 児童・学生の様々な問題と関連している。そこで, 本稿では乳幼児期から大学生までの睡眠の発達について概観するとともに, その年代における睡眠習慣の悪化が, 日中の活動に対してどのような悪影響を与えるかについて先行研究の結果を紹介する。さらに児童・学生の睡眠習慣を悪化させる社会的要因についても紹介する。
著者
福田 一彦 浅岡 章一

大学生の睡眠覚醒リズムの乱れ(不規則化・睡眠相の後退) は, 全世界的な現象ではあるが, 国民全体が世界で最も夜型化している日本の場合, 大学生の睡眠の状態も世界で最も悪い状態にある。今回は, 本学の学生を対象に大学生の睡眠覚醒リズムの現状について, また, 睡眠覚醒リズムの乱れが日中の状況に及ぼす影響についてなどを検討した。また, 大学生の睡眠覚醒リズムの改善を目的として試験的な介入実験を行い, その効果について検討を行った。
著者
浅岡 章一 福田 一彦
出版者
江戸川大学
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
no.27, pp.329-334, 2017-03

様々な認知機能に与える乱れた睡眠習慣の悪影響は,多くの実験や調査によって明らかにされてきている。乱れた睡眠習慣と学業成績との関連も国内外を問わず多数の研究で確認されていることから,学校現場における睡眠教育の必要性も以前から指摘されている。しかし,学校現場における睡眠教育の現状においては不明な点も多い。そこで,我々は子どもの健康教育の担い手と考えられる養護教諭 (保健室の先生) を対象として,睡眠に対する正しい知識の有無と睡眠教育の現状に関する調査を行った。さらに睡眠の正しい知識の教育現場への普及方法に関する示唆を得ることを目的として,養護教諭が睡眠教育のために睡眠の専門家からどのような支援を必要としているのかについて「ニーズ調査」を合わせて実施することとした。調査の結果,養護教諭は睡眠教育の必要性を高く考えているが,実際に学校現場では睡眠教育を頻繁に実施できていないと考えられた。信頼できる情報を載せたWeb サイトやテキスト・スライドの必要性が高く評価されており,睡眠に関する正しい情報を収集し難い事が教育現場における睡眠教育の実施を妨げている一因と考えられた。
著者
浅岡 章一
出版者
東京医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,覚醒時間延長中におけるエラー後の認知的処理機能に与える夜間の仮眠の影響について検討した.エラー後の認知的処理と関連する事象関連電位(ERN/NeおよびPe)の振幅を,深夜1:00~2:00まで仮眠をとった群と休憩のみをとった群において比較した.深夜に実施した認知課題における反応の正確性は,仮眠をとった群で高くなっていた.しかし, ERN/NeとPeの振幅に対しては仮眠の効果は認められなかった.