著者
石原 金由 宮下 彰夫 犬上 牧 福田 一彦 山崎 勝男 宮田 洋
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.87-91, 1986-06-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
9
被引用文献数
55 77

Morningness-Eveningness Questionnaire (MEQ) developed by Home & Östberg (1976) was translated into Japanese, and then, MEQ and Life Habits Inventory were administered to approximately 1500 university students. The distribution of MEQ scores was essentially normal, and the reliability of this questionnaire was high (γα=.702). Comparing among the morning, evening, and intermediate types, it was found that the morning type retired and arose significantly earlier than other types, although there was no significant differences in sleep length. Furthermore, there were significant differences between the morning and evening types in sleep latency, mood on arising, adequate amount of sleep, frequency and duration of nap, and number of staying awake all night per month. These results suggested that the evening type had more irregular sleep-waking habits than the morning type. Since the above results were obtained only from student population, further investigation on various populations is requested.
著者
小島 政滋 山崎 勝男 宮田 洋
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.61-70, 1992

本研究は, 入眠期における脳波, 眼球運動, 行動指標, 主観的睡眠体験を測定し, これらの時間特性及び各指標間の対応関係を検討した.被験者には言語刺激 (羊が1匹-700匹) を提示し, 内容 (羊の数) を記憶させながらボタン押しを行わせて昼間睡眠を取らせた.覚醒後に記憶していた羊の数を再生させた.本研究では, 被験者が初めて再生を失敗した時点を主観的睡眠体験の発生時点とした.α%, SEM<SUB>s</SUB>出現数, 運動反応率及び反応時間を測定し分析の対象とした.その結果, α%と運動反応率の間に正の相関, 運動反応率と反応時間, およびα%と反応時間の間に負の相関が認められた.また, α%と運動反応率は主観的睡眠体験の発生後に顕著な低下を示した.これらの結果は, 入眠期における脳波と行動指標が主観的睡眠体験と強く相関しながら変動することを示している.
著者
浅岡 章一 福田 一彦 山崎 勝男
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-43, 2007-04-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
46
被引用文献数
4 2

日本人の平均睡眠時間はこの40年間で約1時間短くなっている。この傾向は児童・学生においても認められ, 児童・学生の日中における眠気の訴えは成人よりも強いことが明らかにされている。このような睡眠時間短縮に代表される睡眠習慣の悪化は, 児童・学生の様々な問題と関連している。そこで, 本稿では乳幼児期から大学生までの睡眠の発達について概観するとともに, その年代における睡眠習慣の悪化が, 日中の活動に対してどのような悪影響を与えるかについて先行研究の結果を紹介する。さらに児童・学生の睡眠習慣を悪化させる社会的要因についても紹介する。
著者
山崎 勝男
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

近年,情動-動機づけ処理の観点から,前部帯状回(anterior cingulated cortex: ACC)機能への関心が高まっている.本研究では,悪い結果を伝えたときに惹起されるACC由来の前頭内側陰性電位(medial frontal negativity: MFN)について,結果に対する期待の強さとの関連を検討した.最近の理論では,自分の期待に反して結果が悪い場合には,ドーパミン作動系の活動低下によってACCに脱抑制が生じ,MFNを惹起させるという.もしそうならば,フィードバック信号提示前の期待の強さに伴ってMFN振幅は増大することになる,そこで,フィードバック信号に対する期待の強さを反映する刺激前陰性電位(stimulus-preceding negativity: SPN)を側定し,MFNと期待との関連を調べた.実験には単純なギャンブル課題を用いた.画面上に提示される10円と50円の組み合わせから成る選択肢のいずれか一方を選択し,2.5秒後に選択側の視覚刺激が緑色になれば当該金額を受け取れるが,赤色になればその分減額されるという課題だった.実験の結果,50円獲得直後の試行では10円を選択するものの,50円損失後では50円を再び選択するというリスク選択行動が明らかになった.しかしながら,MFNとSPNはリスク選択行動とは合致せず,いずれも50円獲得直後に増大する結果となった.行動と脳活動との乖離は,リスクを選択させる動機づけ過程と,当該試行の結果に対する期待は異なっていたことを示唆している.一方,本研究の予想通り,MFNとSPNは同様の振る舞いを示し,フィードバック信号に関与する情動一動機づけ処理とACCとの関連性を明確にすることができた.