著者
古賀 武 下村 克己 末吉 孝行 三井 寿一 浜地 勇次
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.91-95, 2014 (Released:2014-06-30)
参考文献数
16

近紫外線除去(UVA)フィルム被覆下でも果皮の着色が優れる単為結果性ナス品種育成の可能性を判断する目的で,へた下の着色が濃い半数体倍加(DH)系統(濃系統),へた下の着色が淡いDH系統(淡系統)およびこれらのF1を供試して,へた下の着色程度とUVAフィルム被覆下における果皮色との関係について検討した.一般農業用ビニルフィルム被覆下(農ビ区)とUVAフィルム被覆下(UVA区)における果皮色の色差値は,濃系統の方が淡系統より有意に小さかった.また,濃系統を両親としたF1系統では,淡系統を片親あるいは両親としたF1系統より,農ビ区とUVA区間における果皮色の色差値が有意に小さかった.このことから,へた下の着色程度とUVAフィルム被覆下における果皮色には遺伝的な関連が認められ,UVAフィルム被覆下でも果皮の着色が低下しにくい単為結果性ナス品種育成の可能性が示唆された.また,果皮色の選抜に当たっては,一般農業用ビニル被覆下におけるへた下の着色程度を指標とすることによって,UVAフィルム被覆下でも果皮の着色が優れる系統を選抜できるものと考えられた.
著者
林田 達也 柴戸 靖志 浜地 勇次
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.197-201, 2010 (Released:2010-04-25)
参考文献数
30

結球アブラナ科作物であるハクサイおよびキャベツの結球葉と収穫残さである外葉のCa供給源としての有用性を明らかにする目的で,化学形態別Ca含量を部位別に分析し,その特性について明らかにした.ハクサイ‘無双’,キャベツ‘金系201’における総Caおよび水溶性Ca含量は収穫残さである外葉のほうが,可食部である結球葉,主茎より高かった.両作物の結球葉における水溶性Ca含量はツケナの40%以下であった.しかし,ハクサイおよびキャベツの外葉における総Caに占める水溶性Ca含量の比率は,結球葉より高く,キャベツの外葉における総Ca含量および水溶性Ca含量はそれぞれツケナの2.1および2.9倍であり,ハクサイの外葉の総Ca含量および水溶性Ca含量はツケナと同等であった.以上のことから,ハクサイおよびキャベツの収穫残さである外葉はCa供給源として有望であることが示唆された.