著者
披田野 清良 清本 晋作 三宅 優
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.1306-1313, 2014-10-15

インターネット上に保管されているパスワードや暗証番号などの秘密情報が漏洩する事例が多発している.それらの多くは,人的ミスや機器の故障,あるいは故意による不正などの潜在的な脆弱性に起因するものであり,根本的な原因を取り除くことは容易ではない.そこで,本稿では,上記のような最悪なケースが起きた場合においてもシステムが正しく動作することを目指す機能安全の概念に着目する.そして,システムから一部の秘密情報が漏洩した際に,残りのデータへの影響を最小限に抑える秘密情報の分割保管の方法を提案する.
著者
中村徹 渡辺龍 清本晋作 高崎晴夫 三宅優
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.13-20, 2015-01-15

筆者らは2011年より,データ対象者のプライバシーを適切に保護できるパーソナルデータ流通基盤として,Privacy Policy Manager(PPM)の設計と開発を行ってきた.本稿では特にプライバシー保護の観点から必要となる要件定義を中心として,PPMの設計について説明する.次に筆者らがこれまで進めてきたPPMのプロトタイプ開発について紹介する.さらに,2013年に行ったPPMの実証実験,および経産省ベストプラクティス認定について紹介する.
著者
鷲見 拓哉 石黒 司 清本 晋作 三宅 優 小林 透 高木 剛
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.2061-2071, 2014-09-15

W3Cは,HTML5およびJavaScript上で並列計算を行うための規格であるWeb Workersの勧告候補を2012年に公開した.JavaScriptおよびWeb Workersはプラットフォーム非依存である.JavaScriptで書かれたウェブアプリケーションは広く普及しており,インターネット選挙運動やブロードキャスティングサービス等を行うウェブアプリケーションの中には安全な通信を必要とするものが存在する.そのようなウェブアプリケーションにディジタル署名を組み込むことにより,安全な通信を実現することができる.Rainbow署名は,DingとSchmidtにより2005年に提案された多変数公開鍵暗号方式のディジタル署名である.Rainbow署名は有限体上の多変数2次多項式の連立方程式に対する求解問題がNP困難であることを安全性の根拠とし,ポスト量子暗号の1つとして期待されている.本稿では,Web Workersを用いたRainbow署名の並列実装手法を提案し,その応用例を述べる.また,マルチコアCPUを搭載する汎用PCおよびAndroidタブレット端末を用いて提案方式の実行時間を計測した.その結果,汎用PC上においては0.62ミリ秒,Androidタブレット端末上においては4.54ミリ秒で署名検証を行うことができた.
著者
井山 政志 清本 晋作 福島 和英 田中 俊昭 高木 剛
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J95-A, no.7, pp.579-587, 2012-07-01

ペアリングを用いることで従来実現困難な暗号プロトコルが構成可能になる.ペアリング暗号の高速な実装を目的として,ηTペアリング,R-ateペアリング等の高速なアルゴリズムが提案されている.そして,ペアリングはPCだけでなく,ユビキタスデバイス(携帯電話,センサノードやSmartcard)においても実装が行われている.しかし,Windowsのような高性能なOSを搭載しない携帯電話や,Java言語がベースのAndroid携帯電話におけるペアリングの実装報告は少ない.本論文では,128ビットセキュリティレベルのR-ateペアリングとηTペアリングをAndroid携帯電話とBrew携帯電話において実装評価を行う.またそれぞれの携帯電話において,ペアリング演算とべき乗演算との実装比較のデータを示す.また,ペアリングを用いたIDベース暗号とShort Signatureのプロトコルの実装に関する報告を行う.