著者
藤野 智子 河合 桃代 清村 紀子
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.18-32, 2022-03-31 (Released:2022-05-24)
参考文献数
31

【目的】急性・重症患者看護専門看護師(certified nurse specialist in critical care nursing;CCNS)のコンピテンシーを形成する要素と構造を明らかにする.【方法】無作為に抽出した関東圏内のCCNS 10名に半構造化面接をし,コンピテンシー・ディクショナリーを参考に分析した.【結果】コンピテンシー・ディクショナリーに示す,コンピテンシークラスターの尺度レベルの中央値と,抽出された尺度レベルの平均値の差を分析し,その差が大きいほど特徴的な要素と判断した.結果,『コアなコンピテンシー』に[雇用サービス重視]と[インパクト影響力],『サブ・コアなコンピテンシー』に[チームワークと協調]と[チームリーダー]のそれぞれ2要素を位置づけた.また,『コアなコンピテンシー』と『サブ・コアなコンピテンシー』を補完する『コンプリメントなコンピテンシー』の5要素と構造が明らかとなった.【結論】本研究で顕在化されたCCNSのコンピテンシーの要素と構造は,CCNSの教育や活動,自己分析の視点につながる可能性がある.
著者
冨田 志織 安藤 敬子 清村 紀子
出版者
大分県立看護科学大学看護研究交流センター
雑誌
看護科学研究 (ISSN:24240052)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-11, 2020 (Released:2020-07-12)
参考文献数
17

【研究の目的】不妊治療を受ける女性のおかれた環境の実態および不妊治療を受けている女性が感じているストレスや治療を受ける感情との関連性を明らかにすることである。【研究方法】不妊治療で通院している女性200名を対象に質問紙調査を実施した。質問紙は、対象者の年代、不妊治療に対するストレス度、治療を受ける感情、治療状況、治療内容、仕事、配偶者を含む家族の協力や相談相手の有無、経済面からなる。【結果】治療を受ける女性がストレスを感じていたのは、「治療期間の長さ」、「転職・退職すること」、「経済的負担」、「相談相手がいないこと」であった。それらの項目は、治療を受ける感情とも関連していた。【考察】治療期間が長期化することは、妊娠するという目的を果たせない悲しみの体験を繰り返すことにもなる。また、治療継続によっては経済的負担も増える。現在、不妊治療を継続するかどうかは自己判断である。医学的な知識や科学的根拠による治療の終了をサポートする支援も必要であると考える。
著者
髙橋 甲枝 清村 紀子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.70-76, 2017-12-20 (Released:2017-12-20)
参考文献数
20

三角筋での筋肉内注射は, 腋窩神経損傷の危険性が指摘されるものの簡便性の観点から臨床では頻用されている. 先行研究において, 安全な三角筋筋肉内注射部位を特定するために解剖体から腋窩神経の形態学的データの収集がなされているが, 防腐処理された三角筋を骨格から切離した解剖体でのデータを生体に適応することが妥当であるという検証はなされていない. そこで, 解剖体データの生体への適応可能性を検討することを目的として, 磁気共鳴画像法 (以下MRI : magnetic resonance imaging) を用いて, 肩峰角から腋窩神経と伴行する後上腕回旋動脈までの距離を計測し, 現在までに収集した計44の女性解剖体の結果と比較した. 結果, 被験者5名の肩峰角から後上腕回旋動脈までの距離のMRIデータは解剖体の肩峰角から腋窩神経までの距離のデータと近似しており, 解剖体で得られた結果は, 生体での安全な注射部位を特定していくためのデータとして活用可能性が示唆された.
著者
清村 紀子 鹿嶋 聡子 時吉 佐和子 寺師 榮 有田 孝 伊藤 直子 工藤 二郎
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.632-642, 2013-10-31 (Released:2013-11-25)
参考文献数
14

本研究は,中学生へのCPR教育の意味を質的に明らかにし,Kolb経験学習理論を基盤に考察することを目的とする。A地域の中学生53人に対し,簡易型キットを用いたCPR教育実施後に「いのちについて考える」をテーマに記載を求めた作文から,意味ある内容を文章単位で抽出し内容分析した。18部の作文から抽出した193のテクストデータから,【いのちと人とのつながり】,【救急医療に対する認識の高まり】,【思春期における成長】,【バイスタンダーCPRを拡大する上での課題】,【中学生のCPRに関する認識と認知度の実態】の5カテゴリを抽出した。中学生はCPR教育をきっかけとし,知識・技術の習得のみならず,救急医療の現状の課題への理解やバイスタンダーとなることを現実的に実感することに加え,いのちや人とのつながりについて深慮しており,中学生へのCPR教育がいのちの教育や成長発達に意義あることが示唆された。