著者
照沼 利之 清水 森人 奥村 敏之 榮 武二 森 祐太郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

我々は近年、陽子線照射によって発生するMHz音響波を工業用の大口径超音波プローブで測定することに成功した。しかし、陽子線照射で発生する音響波は微弱であるためより小型の医療用超音波プローブを使用した測定は困難であることが予想される。本研究では新たに、アクティブ計測を導入した方法により、MHz音響波の医療用超音波プローブで計測することを試みる。この目的が達成できれば、将来は放射線検出技術と超音波診断装置技術との融合により、放射線治療時の体内臓器イメージングと放射線分布イメージングを同時に実現できる可能性が開かれる。このように将来の技術につながる研究として本研究は重要である。
著者
平田 雄一 宮本 直樹 清水 森人 吉田 光宏 平本 和夫 市川 芳明 金子 周史 篠川 毅 平岡 真寛 白土 博樹
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.238-246, 2014 (Released:2015-03-14)
参考文献数
14

がんの放射線治療においては患者の呼吸等にともなって放射線の照射中に患部の位置が変化する可能性がある。放射線の患部への照射効果を向上させるとともに、周辺の正常部位へのダメージを最小化するために、患部の3次元的な位置の時間的な変化を考慮した4次元放射線治療が最近日本で開発され治療効果を上げている。この時間軸を付加した4次元放射線治療を実現するシステムの安全性に関する技術的要件を盛り込んだ規格を日本から国際電気標準会議(IEC)に提案した。理由は、IECの国際標準は、各国の規制当局によって引用されると、強制力を有するようになるため、IECにおける国際標準化活動は、4次元放射線治療システムの確固とした安全性担保のために非常に効果的であるためである。この論文は、今後さらに需要が増す4次元放射線治療システムに関する国際標準化の戦略について分析した内容をまとめたものである。戦略の要は、4次元放射線治療システムの安全性に関する技術的要件の国際標準化に焦点を絞り、臨床的視点を盛り込む形で、幅広い分野の専門家の意見を結集して国際的な合意形成を図ることである。今後4次元放射線治療を一層普及させるために、このような戦略にもとづいて、4次元放射線治療システムを構成する個別装置に関する既存規格の改訂に加えて、4次元放射線治療システム全体についてシステムとしての安全性評価を行ったうえで、新しい規格の作成を推進する。