著者
アメリカ版画評議会 編 越川 倫明 訳 坂本 雅美 訳 渡辺 晋輔 訳
出版者
国立西洋美術館
巻号頁・発行日
2016

作品の貸出しは美術館の基本的な業務のひとつですが、その実際の作業方法は館によって、あるいは担当者によって異なることがあります。また、どのように対処すべきか迷うこともしばしばです。とりわけ素描や版画といった紙本作品は性質が特殊なため、その傾向が顕著でしょう。本書はこうした状況において、指針となるものです。紙本作品を貸し出す際の個々の作業に関して、アメリカの経験豊かなキュレーターや修復家、レジストラーの声が反映されています。なお、本書に記されていることは、ヨーロッパの美術館においてもほぼそのまま指針として通用します。本書は1995年に初版が出され、日本でも1998年に国立西洋美術館から翻訳が出版されました。しかしその後約20年のうちに、インターネットやLED照明の普及など、技術の進歩には目覚ましいものがありました。これらの変化を踏まえ、2015年にアメリカで、初版に大幅な改訂を加えた「2015年デジタル版」が完成します。ここに公開するのは、このデジタル版に従った改訳です。本書は通常の貸出業務の参考図書として利用することができますし、欧米における紙本作品貸出のスタンダードを知るうえでも有用でしょう。各トピックについてさらに深く知りたい方のためには、充実した文献案内もついています。もっとも、本書はアメリカの美術館向きに作成されたものであるため、日本美術の作品等については、記述どおりに運用できない部分があるかもしれません。実際の作業にあたっては現場の経験と判断を重視することはもちろんですが、それでもガイドラインとしてきわめて有益と思われます。本書が日本の美術館の活動に資するところがあれば幸です。
著者
佐藤 直樹 大屋 美那 渡辺 晋輔 山口 惠里子 大屋 美那 渡辺 晋輔 小針 由起隆 萬屋 健司
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

ローマで活動した外国人芸術家たちの風景画を中心としたデータベースは、総データ件数が2996点にも達し、今後の美術史研究に有用なツールとなった。3年間にわたる本研究課題の研究成果は、論文集『ローマ-外国人芸術家たちの都』(竹林舎)として2013年秋に刊行予定である。本書以降、「近代都市と芸術」シリーズとして7巻の刊行が続くこととなり、19世紀の都市と芸術に関して新しい視点を美術史学に提供することが期待される。
著者
渡辺 晋輔 幸福 輝 陳岡 めぐみ 保井 亜弓
出版者
独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

イタリア、ネーデルラント・フランドル、ドイツ、フランスを専門とするメンバーが、それぞれ15世紀から18世紀までの西洋版画史に関する一次史料を収集し、史料集を作成した。また、いくつかの史料については翻訳も行った。そして、集積した史料をもとにして、当時版画がどのように生産・消費され、評価されたのかを考察した。その成果は学会発表、論文、書籍で発表したほか、研究報告書の形でまとめ、出版した。
著者
幸福 輝 佐藤 直樹 渡辺 晋輔 栗田 秀法 金山 弘昌
出版者
独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、16世紀から17世紀にかけ、版画という媒体において古代がどのように表象され、また、この媒体を通じて古代文化はどのように伝播されていったかという問題を、西欧各国の具体的な事例に基づいて、明らかにしようとする目的でおこなわれた。もとより、きわめて大きな問題であり、われわれの目的はその基礎的な概略図を描くことでしかないが、それぞれ異なる分野を専門とする者が協力しあったことにより、当初の目的は達成できたのではないかと考えている。はじめに、イタリア、ドイツ、ネーデルラント、フランスの順で、ごく簡単にこの主題について各国の状況を略述し、次いで、各研究分担者による研究成果を掲載する。佐藤はデューラーとイタリア版画の関係について、幸福はヒエロニムス・コックの版画出版活動について、金山は古代建築の復元図とバロック建築との関係について、渡辺はズッカレリの風景画に見られる古代彫刻のモティーフについての議論をおこない、栗田はフランス・アカデミーにおけるラオコーンに関する講演の翻訳とその解題を寄せている。なお、国立西洋1美術館に属す研究代表者の幸福と研究分担者の佐藤および渡辺は、2005年と2007年に本研究に関連するふたつの版画の展覧会(『「キアロスクーロ:ルネサンスとバロックの多色木版画』と『イタリア・ルネサンスの版画』)を同館で企画・開催した。別冊資料1、同2として、それら2冊の展覧会図録を本研究成果報告書に添付して提出する。