著者
幸福 輝
出版者
独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

欧米の版画室での実地調査に基づき、レンブラントがどのような作品において、どのような目的で和紙を使用したのかを明らかにした。また、17世紀から20世紀までのレンブラント版画関連文献で、レンブラントの和紙作品がどのような評価を受けてきたのかを明らかにした。
著者
渡辺 晋輔 幸福 輝 陳岡 めぐみ 保井 亜弓
出版者
独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

イタリア、ネーデルラント・フランドル、ドイツ、フランスを専門とするメンバーが、それぞれ15世紀から18世紀までの西洋版画史に関する一次史料を収集し、史料集を作成した。また、いくつかの史料については翻訳も行った。そして、集積した史料をもとにして、当時版画がどのように生産・消費され、評価されたのかを考察した。その成果は学会発表、論文、書籍で発表したほか、研究報告書の形でまとめ、出版した。
著者
幸福 輝 尾崎 彰宏 青野 純子 深谷 訓子 中田 明日佳 髙城 靖之
出版者
独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

17世紀オランダ美術の特質はなによりその写実的風景画や風俗画にあり、古代神話や聖書主題の作品を描いたルネサンスと対比されてきた。こうしてオランダ美術における「オランダ的なもの(オランダ性)」の解明が重要な課題のひとつとなった。他方、オランダの経済的繁栄の基盤は東西貿易にあり、芸術作品を含むあらゆるモノがオランダに集まっていた。そのような社会において異国の文化の受容は必然であり、「オランダ性」はオランダ固有の国内問題であると同時に、世界に向きあった国際化の問題でもあった。本研究では、特にアジアの視点から17世紀オランダ美術を再検討し、「オランダ性」に関する様々な調査研究をおこなった。
著者
尾崎 彰宏 幸福 輝 元木 幸一 森 雅彦 芳賀 京子 深谷 訓子 廣川 暁生 松井 美智子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

最大の研究成果は、「カーレル・ファン・マンデル「北方画家列伝」註解」が完成し、出版の準備を整える事ができたことである。この翻訳研究の過程で、以下の点が明らかになった。(1)マンデルは『絵画の書』において、inventie(着想/創意)、teyckenconst(線描芸術)、welverwen(彩色)という鍵となる概念を用いて、15、16世紀ネーデルラント絵画史を記述したこと。(2)マンデルは、自律的に『絵画の書』を執筆したのではなく、とくにヴァザーリの『芸術家列伝』に対抗する形で、ヴェネツィアの絵画論、とりわけロドヴィコ・ドルチェの『アレティーノ』で論じられている色彩論を援用した。つまり、マンデルのteckenconstは、ヴァザーリのdesegnoを強く意識しながらも、マンデルは本質と属性の関係を逆転した。ヴェネツィアにおける色彩の優位という考えとディゼーニョを一体化させることで、絵画とは、素描と色彩が不即不離の形で結びついたものであり、絵画として人の目をひきつけるには、属性として軽視された色彩こそが重要なファクターであるという絵画論を打ち立てた。(3)この絵画とは自律的な存在ではなく、鑑賞者の存在を重視する絵画観である。つまりよき理解者、コレクターが存在することで、絵画の意味はその「あいだ」に生まれるという絵画観が表明されている。このように本研究では、マンデルの歴史観が明らかになり、ネーデルラント美術研究のための新たなる地平を開くことができた。
著者
幸福 輝 佐藤 直樹 渡辺 晋輔 栗田 秀法 金山 弘昌
出版者
独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、16世紀から17世紀にかけ、版画という媒体において古代がどのように表象され、また、この媒体を通じて古代文化はどのように伝播されていったかという問題を、西欧各国の具体的な事例に基づいて、明らかにしようとする目的でおこなわれた。もとより、きわめて大きな問題であり、われわれの目的はその基礎的な概略図を描くことでしかないが、それぞれ異なる分野を専門とする者が協力しあったことにより、当初の目的は達成できたのではないかと考えている。はじめに、イタリア、ドイツ、ネーデルラント、フランスの順で、ごく簡単にこの主題について各国の状況を略述し、次いで、各研究分担者による研究成果を掲載する。佐藤はデューラーとイタリア版画の関係について、幸福はヒエロニムス・コックの版画出版活動について、金山は古代建築の復元図とバロック建築との関係について、渡辺はズッカレリの風景画に見られる古代彫刻のモティーフについての議論をおこない、栗田はフランス・アカデミーにおけるラオコーンに関する講演の翻訳とその解題を寄せている。なお、国立西洋1美術館に属す研究代表者の幸福と研究分担者の佐藤および渡辺は、2005年と2007年に本研究に関連するふたつの版画の展覧会(『「キアロスクーロ:ルネサンスとバロックの多色木版画』と『イタリア・ルネサンスの版画』)を同館で企画・開催した。別冊資料1、同2として、それら2冊の展覧会図録を本研究成果報告書に添付して提出する。