著者
内田 さえ 渡邊 一平 矢野 忠 佐藤 優子
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.27-51, 2004-02-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
66

脳機能および中枢神経疾患に対する鍼灸の効果と現状を総合テーマとして、当該領域のレビューを行った。基礎研究における動物実験のレビューでは、麻酔ラットへの鍼刺激による大脳皮質および海馬の血流量に及ぼす影響とその機序を中心に紹介した。ヒトを対象とした基礎研究のレビューでは、fMRI、脳磁気図、脳波 (事象関連電位) などを指標とした鍼の効果に関する知見が総括された。また、中枢神経疾患に対する鍼灸の効果に関するレビューについては、脳血管障害後後遺症に対する鍼治療の有効性について総括すると共に、痙性抑制あるいは廃用症候群の改善によるQOL向上の可能性についても考察した。
著者
冨田 賢一 渡邊 一平
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.819-828, 2010 (Released:2011-05-25)
参考文献数
7

【目的】生姜灸は艾と皮膚の間に介在物として生姜を置く隔物灸で、 局所の湿熱による温和な刺激効果が期待できる灸法である。 今回、 我々は艾重量を固定し、 生姜の厚さを変化させることで生じる温熱刺激特性を温度センサーを用い調査した。 また厚さの異なる生姜灸を被験者に行い、 温熱刺激に対するアンケート結果と施灸時の最高温度の関係について調査した。 【方法】厚さ3mmのベニア板上に温度センサーを設置した。 生姜は一辺2cmの正方形に切り、 厚さは3mm、 5mm、 7mmの3種類とした。 各厚さにスライスした生姜の上で、 重量200mg、 高さ2cm、 直径2cmの円錐形に整えた艾シュを燃焼させ、 経時的温度変化を測定した。 また人体に対する温度感覚の調査として、 それぞれの厚さの生姜灸を前腕内側部に行う際、 生姜灸と皮膚との間に温度センサーを設置して、 施灸時の最高温度を調査し、 施灸後、 生姜灸についての温熱感覚と快適感覚に関するアンケートを行った。 【結果】ベニア板上における温度測定の結果、 隔物である生姜が厚いほど、 最高温度は低くなり、 最高温度到達時間も遅くなることがわかった。 また、 人体への施灸の結果、 温熱感覚と施灸時最高温度の間に相関関係が認められ、 生姜の厚さが薄いほど温熱感覚が強い傾向が認められた。 快適感覚については、 やや心地良い、 心地良い、 非常に心地良いと回答した被験者は、 3mmは10例中5例、 5mmは12例中9例、 7mmは9例中5例に認められた。 【考察と結語】生姜灸を行う際の隔物の厚さは刺激量を決定する上で、 重要な要素であると考えられた。 快適感覚については、 生姜灸の温熱刺激は心地よさを与えやすい刺激であると考えられたが、 最も薄い厚さ3mmの生姜灸は不快感を訴えた被験者が10例中5例認められた。 艾重量200mgの生姜灸を行う際、 患者に不快感を与えないよう施灸する場合、 生姜の厚さは5mm以上が望ましい事が示唆された。
著者
無敵 剛介 栗栖 照雄 ダーリング ブルース 渡邊 一平 高木 俊明 下津浦 康裕 周 英男
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 (ISSN:13455451)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.123-131, 2004-03-25
被引用文献数
1

The Scythian Iceman, the oldest European mummified body with tattoos, provides strong evidence that the acupuncture meridian theory was established more than 5, 000 years ago. The current medical treatment system in Japan lacks the holistic concepts of traditional oriental medicine of which the meridian system is an important component. In the present study, we developed a new meridian diagnosis instrument to determine the quantitative and qualitative balance of the human body, based on traditional oriental medical theory. A newly devised three point system equipment with a constant current (10μA) generation circuit (INA126) was used to clinically measure the electrical resistance value of the 12 true meridian routes. Furthermore, the electro-physiological background was also investigated. The measured value of the meridian flow resistance of the 12 true meridians was displayed on a meridian flow radar chart, and a traditional oriental medical diagnosis was conducted based on the changes in values on the radar chart. In addition, we also investigated the clinical effect of treatment with acupuncture and oriental herbal medicine of a chronic pain patient diagnosed using radar chart values.