- 著者
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渥美 聡孝
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.1, pp.70, 2018
近年,九州では大型肉食恐竜の歯の化石が発見され,恐竜研究の地として注目を集めている.古代生物の化石は生物史や系統学,分類学など古生物学的に重要な意義を持つものである.化石の中には竜骨という名で生薬として用いられるものもあるが,恐竜に由来するものではない.第17改正日本薬局方では,竜骨は「大型ほ乳動物の化石化した骨で主として炭酸カルシウムからなる」と規定されており,漢方薬原料として用いられている.しかし近年は中国政府が竜骨の採掘を制限するなど,資源枯渇に対する危機感が露わになっている.したがって,持続的利用のために竜骨代替品などの検討が行われているが,原動物が不明瞭なため対策が困難な状態にある.竜骨は東大寺正倉院にも収蔵されており,奈良時代の生薬が今も残っている.この竜骨は過去の調査でシカ科動物の化石であるとされているが,現在の市販品について分類学的に原動物の調査をした報告はない.今回,日本と中国の市場品竜骨について検討した報告がなされたので紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Oguri K. <i>et</i> <i>al</i>., <i>J</i>. <i>Nat</i>. <i>Med</i>., <b>71</b>, 463-471(2017).<br>2) Oguri K. <i>et</i> <i>al</i>., <i>J</i>. <i>Nat</i>. <i>Med</i>., <b>70</b>, 483-491(2016).