- 著者
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浜田 七郎
満塩 大洸
- 出版者
- 水産庁西海区水産研究所
- 雑誌
- 西海区水産研究所研究報告 (ISSN:0582415X)
- 巻号頁・発行日
- no.64, pp.p25-34, 1987-03
東シナ海・黄海域の274地点の海底堆積物の粒度分布等を調べ堆積学的に検討した。粒径分布は全体として,礫,砂,泥からなり,最も粗粒なものは礫質砂として区分される。礫質砂の分布する海域は東シナ海中部の大陸棚斜面近くと魚釣島北方海域及びバーレン東方の3海域が挙げられる。これらは,いずれも砂又は泥質砂の中にパッチ状に散在している。砂質域は大きく分けて2海域に分布している。その一つは,長江河口の東方に分布し,長江からの排砂で形成され,もう一つは大陸棚縁辺域に沿って弧状に巾を持った分布をし,黒潮と対馬暖流の卓越するところに見られる。4φ以上の細粒の泥は黄海域に見られる。また,東シナ海では,バーレン以南と済州島南部域に分布している。含泥率は水深70~90m付近に高く,一部の海域を除いては105m以深では極めて低くなる。底質の色調は黄海域では褐色か帯褐灰色を呈したものが多い。東シナ海域でも北部海域では同系と思われるものが見られるが,南部では灰色か緑色を帯びた色相が主である。砂粒組成について見ると,黄海の3~4φでは非生物起源砕屑物が圧倒的に多い。長江沖は1φまでは貝殻片が主要構成物であるが,2φより細粒部分は砂が卓越し,貝殻片は少なくなる。対馬暖流域では,-2φより粗いところは貝殻片,礫であるが,1~2φの粒径では非生物起源の砂粒が多く,生物性砕屑物では有孔虫,貝殻片がほぼ同量に混在する。バーレン南部の泥質分布域の1φより粗粒部では,貝殻片が圧倒的に多く, 1~2φでは砂粒,貝殻片及び有孔虫類が同程度含まれる。3~4φでは,砂粒が圧倒的に多くなる。黒潮流域においては1φより粗いところでは貝殻片が卓越し, 1~2φでは砂粒,貝殻片,有孔虫類がほぼ同量である。