著者
平藤 雅之 世一 秀雄 三木 悠吾 木浦 卓治 深津 時広 田中 慶 松本 恵子 星 典宏 根角 博久 澁谷 幸憲 伊藤 淳士 二宮 正士 Adinarayana J. Sudharsan D. 斉藤 保典 小林 一樹 鈴木 剛伸
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.60-70, 2013
被引用文献数
3

フィールドサーバは,野外における情報収集,灌水等の制御,センサ等新デバイスの実験を行うためのセンサネットワーク用プラットフォームである.そのためには多機能かつ十分な拡張性を備えると同時に,機械作業や栽培ステージに応じて手軽に移設でき作業者等の安全性にも配慮したオールインワン化及びワンユニット化が必要とされる.また,半導体技術の進歩やCPU等LSIの世代交代にあわせてハードウェア及びファームウェアの更新と機能向上を迅速に行う必要がある.ところが,大量生産ができない段階では低コスト化と高機能化を両立させることは困難であり,しかもそのような初期段階においては低コストで高機能な試用機がないとアプリケーション開発ができず市場が拡大しないというジレンマがある.これらの問題を解決するための制作手法としてオープンソース・ハードウェアを用いる方法を考案し,オープンソースのフィールドサーバ(Open-FS)を開発した.さらに,Open-FSを用いて測定したデータを低コストに収集・閲覧・共有するための方法として,既存のクラウドサービス(Twitter等)とHTML5で記述した閲覧用ソフトウェアからなる"センサクラウド・システム"を提案し,試作及びインドと日本における長期現地実験によってその有効性を評価した.<br>
著者
福田 栄紀 須山 哲男 澁谷 幸憲 八木 隆徳 目黒 良平
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.132-140, 2009-07-15

放牧牛がチシマザサ(以下、ササとする)優占植生中のスギ稚樹の生残に及ぼす影響を調べた。放牧共用林野内のスギ人工林に隣接するブナ林の空隙地に、禁牧区と放牧区を設定し、両区で放牧牛がササの生育、およびスギ稚樹の光環境、生残と樹高伸長に及ぼす影響を5年間比較した。禁牧区では、ササの被度と高さは急増して相対光量子束密度は低下し、スギ稚樹の生存率は禁牧3年目で急減した。一方、放牧区では、ササは採食されて生育が抑制されたため、良好な光環境が維持され、スギ稚樹の生存率と樹高伸長量は相対的に高く保たれた。放牧牛によるスギ稚樹の採食は稀で、踏圧や排糞による影響も軽微であった。放牧牛はササに対しては撹乱要因として作用したが、スギ稚樹に対しては作用しなかったため、ササに対する選択的生物撹乱要因と言える。スギの更新の成否は、ササが同所的に分布するブナ林床では、放牧牛の採食圧に強く依存する。