著者
和田 枝実子 島田 章則 澤田 倍美 森田 剛仁 佐藤 加奈子 辻野 久美子 日笠 喜朗 天谷 友彦
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.112-115, 2006-02-20
参考文献数
8
被引用文献数
1

24歳齢のサラブレッド種の馬に膿性鼻汁の排出が慢性的に見られ, 蓄膿症と診断された. 抗生剤投与による治療が行われたが, 膿汁の排出は続いた. 鼻腔内の触診により右鼻腔内前縁に親指大の腫瘤が触知され, さらに腫瘤は鼻孔より突出するまでに増生伸長し, 鼻汁の排出も継続してみられた.また, 前頭部の膨隆も現れた.病理解剖の結果, 肉眼的に右鼻腔内において背鼻甲介粘膜がその全域 (縦2.5cm, 横7cm, 全長25cm) にかけて高度に肥厚するとともに, 黄色ゼリー状を呈しており, 末端部の肥厚部位は腫瘤状の形態を示し, 外鼻孔より突出していた.組織学的に, 腫瘤は粘液様物質の蓄積を伴う肉芽組織であり, 鼻ポリープと診断された.
著者
澤田 倍美 朴 天鎬 近藤 寿代 森田 剛仁 島田 章則 山根 逸郎 梅村 孝司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.853-854, 1998-07-25
参考文献数
8
被引用文献数
5 62

本邦のイヌにおける抗Neospora caninum(NC)抗体保有率を調査した.ネオスポラ症発症および抗NC抗体保有牛飼養農家で飼育されているイヌ48頭中15頭(31.3%)が抗体を保有していた.一方, 都会で飼育されていたイヌ198頭中14頭(7.1%)が抗NC抗体を保有していた.抗体検査2ヵ月前にネオスポラ症が発生したブリーダー宅で飼育されていた7ヵ月齢以上の成犬17頭すべてが抗NC抗体を保有していた.1年半後に同ブリーダーにて再検査を行ったところ, 抗体価に大きな変動はなかった.イヌのブリーダーと酪農家で飼育されていたイヌでNC抗体陽性率が著しく高かったことは, NCがイヌの間で水平伝播し, かつイヌとウシの間で水平伝播されている可能性を示唆するものであった。