著者
山根 逸郎 鎌田 晶子 杉浦 勝明 濱岡 隆文 村上 洋介 白井 淳資 難波 功一
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.583-588, 1997-10-20
参考文献数
11
被引用文献数
1

1997年3月台湾で発生した口蹄疫に関連して, わが国における防疫上の留意点を検討するため, 台湾での口蹄疫の拡散状況を地理情報システムを利用して分析した.有病率, 農家有病率の増加は直線的で, 5月8日にはそれぞれ60%および20%を越え, 台湾本島の全県に侵入し, 発生全期の致死率は約20%であった. 今回の発生は, 北部と南部の2ヵ所でほぼ同時に報告され, その後中部, 東部へと拡大したが, 豚の密度が伝播に重要な役割を果たしており, 密度の高い地域において有病率および新規発症率が高かった. 初期に殺処分率が高かった県ではその後の新規発症率および有病率が低く, 早期の殺処分, 速やかな情報伝達と感染動物の移動制限などが蔓延防止に重要な役割を果たすと考えられる.
著者
澤田 倍美 朴 天鎬 近藤 寿代 森田 剛仁 島田 章則 山根 逸郎 梅村 孝司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.853-854, 1998-07-25
参考文献数
8
被引用文献数
5 62

本邦のイヌにおける抗Neospora caninum(NC)抗体保有率を調査した.ネオスポラ症発症および抗NC抗体保有牛飼養農家で飼育されているイヌ48頭中15頭(31.3%)が抗体を保有していた.一方, 都会で飼育されていたイヌ198頭中14頭(7.1%)が抗NC抗体を保有していた.抗体検査2ヵ月前にネオスポラ症が発生したブリーダー宅で飼育されていた7ヵ月齢以上の成犬17頭すべてが抗NC抗体を保有していた.1年半後に同ブリーダーにて再検査を行ったところ, 抗体価に大きな変動はなかった.イヌのブリーダーと酪農家で飼育されていたイヌでNC抗体陽性率が著しく高かったことは, NCがイヌの間で水平伝播し, かつイヌとウシの間で水平伝播されている可能性を示唆するものであった。
著者
山根 逸郎 筒井 俊之 志村 亀夫 濱岡 隆文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.645-649, 2007-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
17

酪農家を対象にSalmonella Typhimurium (ST) による成牛型サルモネラ症の発生に関わる飼養管理要因について, 症例対照研究を応用して解析を行った. ST発生農家におけるST保菌牛割合の平均は37%(95%信頼区間; 18.4-55.8%) であった. 調査した要因のうち「飼槽の表面材質がコンクリートである」, 「餌槽と牛床間の仕切版がない」, 「連続水槽を用いている」, 「搾乳施設床面の消毒をまったく行わない」農家においてST発生のオッズ比が高かった. 今後, これらの飼養管理要因をコントロールすることにより, STによる損耗を減少させることが期待される.