著者
宮下 盛 村田 修 澤田 好史 岡田 貴彦 久保 喜計 石谷 大 瀬岡 学 熊井 英水
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.475-488, 2000-09-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
42
被引用文献数
2

1987年に採捕したクロマグロ幼魚を親魚まで養成し,成熟年齢と想定した満5歳以降,生殖腺体指数(GSI)の周年変動を調べるとともに,毎年6~8月にかけて自然産卵を観察し,産卵条件を検討した。また,産卵盛期における産卵時刻直前の生殖腺の性状を調べるとともに,卵および精子の構造を電子顕微鏡を用いて観察した。GSIは雌雄とも7月を中心に最大となる傾向を示した。産卵時刻直前の雌個体は,体重21.3kgと小型ながら熟卵を有し,卵巣内の卵径組成は0.8mm以上の卵を約25%含む多峰型を示し,産卵多回性を認めた。自然産卵は満7歳以降,延べ4年にわたり認められた。串本での産卵期は,6月中旬から8月中旬の約2カ月間と推定された。産卵が認められた水温範囲は21.6~29.2℃であり,50%正常孵化率で示す孵化限界水温範囲に対応した。本種の精子は,全長約35μmで,頭部,中片部および尾部から構成され,硬骨魚類の一般的な形態を示した。卵の動物極と思われる位置には直径5μmの卵門が観察され,卵膜表面全体に多数のpit(小孔)が認められた。
著者
瀬岡 学 坂東 貴裕 水門 満義 澤田 好史
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 = The aquiculture (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.143-144, 2010-03-20

魚類養殖、マグロ属、配合飼料、イカ類、タンパク、給餌。
著者
宮下 盛 田中 祐志 澤田 好史 村田 修 服部 亘宏 滝井 健二 向井 良夫 熊井 英水
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.199-207, 2000-06-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
33

クロマグロの卵発生を観察するとともに,発生速度,孵化所要時間および孵化率に及ぼす水温の影響を調べた。水温24℃における卵発生を観察した結果,卵は平均直径0.973±0.025mm(n=60)の分離浮性卵で,産卵直後から卵割期にいたる形状および各発生段階は一般硬骨魚と大差なく,産卵32時間後から孵化した。次に水温22℃から28℃の範囲に4区の水温区を設け,発生速度に及ぼす水温の影響を調べたところ,各発生段階への到達時間は水温が高いほど速く,高温区と低温区の各発生段階への到達の時間差は水温26.5℃以上で小さく,24℃以下で大きかった。16~33℃にわたる種,々の水温下で孵化所要時間と孵化率を調べた。孵化所要時間を対数として水温との関係を直線回帰して表したところ,25℃付近に直線の傾きの変曲点が認められた。桑実期から実験を開始して正常孵化仔魚が得られた水温範囲は19.9~31.5℃,50%以上の正常孵化率を示した水温範囲は21.2~29.8℃であった。また,最も正常孵化率が高く奇形率が低かった水温は25℃付近であった。これらの結果から,クロマグロの卵発生に最適な水温は25℃付近と考えられた。