著者
若林 香織 田中 祐志
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.5-12, 2012-08-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
34

Phyllosoma, a zoeal larva with extremely flat body and long appendages of spiny and slipper lobsters, is morphologically different from other decapod zoeas. In natural environments, phyllosomas often associate with planktonic gelatinous organisms such as jellyfish although its ecological implication is still unclear. Here we review the interaction between phyllosomas and gelatinous organisms. Our recent examinations showed that phyllosomas feeding exclusively on jellyfish successfully develop into juvenile, and that phyllosomas could associate with and prey on various species of venomous jellyfish. These results suggest that phyllosomas utilize gelatinous organisms as food sources as well as floating vehicles.
著者
山根 猛 田中 祐志
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.37-43, 1999-03-31
被引用文献数
2

熊野灘南部太地湾での定置網漁獲量と水温変動の関係について検討した。夏季に熊野灘海域に発生する沿岸湧昇に起因する湾内の一時的な水温低下は, 深海性魚類であるムツ, そしてクロシビカマスの漁獲量に影響する。特に, 当該漁場で商業的有用種であるムツの漁獲量は, 沿岸湧昇による水温変化が大きいほど多獲される傾向が見られた。熊野灘沿岸に発生する沿岸湧昇は外洋に向けて広く開口した太地湾の湾奥にまで波及し, 夏季に太地湾で漁獲される深海性魚類の漁獲量に大きく影響する可能性を示唆する。
著者
石丸 隆 山口 征矢 小池 義夫 栗田 嘉宥 吉田 次郎 神田 穣太 田中 祐志 土屋 光太郎 北出 裕二郎 茂木 正人 堀本 奈穂 平譯 享 笠松 伸江
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

海鷹丸による,2回の南大洋インド洋海区における学際的な研究航海を実施した。生物関係では,陸棚から外洋における魚類の分布組成,中・深層における魚類や動物プランクトンの分布,動物プランクトンの分布変動と南極周極流周辺に形成されるフロントの位置との関係等を明らかにした。物理学分野ではケープダンレー沖において新たな南極底層水形成海域を発見し,深層水の分布とその変動,形成機構等に関する知見を得た。
著者
宮下 盛 田中 祐志 澤田 好史 村田 修 服部 亘宏 滝井 健二 向井 良夫 熊井 英水
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.199-207, 2000-06-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
33

クロマグロの卵発生を観察するとともに,発生速度,孵化所要時間および孵化率に及ぼす水温の影響を調べた。水温24℃における卵発生を観察した結果,卵は平均直径0.973±0.025mm(n=60)の分離浮性卵で,産卵直後から卵割期にいたる形状および各発生段階は一般硬骨魚と大差なく,産卵32時間後から孵化した。次に水温22℃から28℃の範囲に4区の水温区を設け,発生速度に及ぼす水温の影響を調べたところ,各発生段階への到達時間は水温が高いほど速く,高温区と低温区の各発生段階への到達の時間差は水温26.5℃以上で小さく,24℃以下で大きかった。16~33℃にわたる種,々の水温下で孵化所要時間と孵化率を調べた。孵化所要時間を対数として水温との関係を直線回帰して表したところ,25℃付近に直線の傾きの変曲点が認められた。桑実期から実験を開始して正常孵化仔魚が得られた水温範囲は19.9~31.5℃,50%以上の正常孵化率を示した水温範囲は21.2~29.8℃であった。また,最も正常孵化率が高く奇形率が低かった水温は25℃付近であった。これらの結果から,クロマグロの卵発生に最適な水温は25℃付近と考えられた。