著者
濱西 知子 若松 尚美 貝沼 圭二 高橋 節子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.326-332, 2000-08-20
被引用文献数
1

サゴ澱粉の高濃度澱粉ゲルの老化特性を知る目的でサゴおよびとうもろこし、馬鈴薯、タビオカ、加工小麦澱粉を用いてゲルの凍結解凍安定性について比較した。ゲルの調製法は攪拌加熱法について静置加熱と比較し、加工小麦澱粉を添加した結果についても実験を行った。高濃度ゲル食品としてわらび餅を調製し、官能評価を行ない食味評価と物性との関係について検討した。1)調製直後の各種高濃度ゲルの硬さの差は僅少であった。2)高濃度ゲルの調製法としての攪拌加熱法は、静置加熱法に比べて、凍結・解凍を繰返した際の硬さ、離水量の増加が緩慢であり、老化が抑制された。また、加工小麦澱粉ゲルの老化は認められなかった。3)天然澱粉に加工小麦澱粉を20%添加することにより、凍結・解凍サイクルにおける硬さ、離水量の増加が抑えられ、特にサゴ澱粉において老化抑制効果が顕著であった。4)評価法による官能評価から硬さ、弾力性、べたつき、総合評価の項目でサゴ澱粉は嗜好性が高く、次いで馬鈴薯澱粉が好まれた。5)嗜好性の高かったサゴおよび馬鈴薯澱粉を用いて官能評価を行なった結果、サゴ澱粉は攪拌加熱法が馬鈴薯澱粉の場合は静置加熱法がより好まれ、澱粉の種類により攪拌が食味特性に及ぼす影響の異なることが明らかとなった。本研究を行なうにあたり平成7年度財団法人飯島記念食品科学振興財団より研究助成をいただきました。ここに深く感謝の意を表します。
著者
平尾 和子 米山 陽子 濱西 知子 高橋 節子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.24, 2004

【目的】みたらし団子用たれは、一般的に馬鈴薯澱粉などの天然澱粉が用いられており、その保存期間は短い。そこで本研究においては、耐老化性や低温保存安定性に優れた化工小麦澱粉を用いて団子用たれを調製し、馬鈴薯澱粉、天然小麦澱粉を用いたものと、物性ならびに官能評価による食味特性を比較し、保存方法および利用性についても検討した。<br>【方法】試料とした化工小麦澱粉はMidsol 4, Midsol 46の2種を用い、天然小麦澱粉Midsol 50 (ともに米国MGP社製) および馬鈴薯澱粉(ホクレン社製)と比較した。たれの調製は澱粉濃度9%とし、ショ糖は全液量の40%、醤油は10%とした。各澱粉の粘度はラピッドビスコアナライザー(RVA)により求め、糊の物性はテンシプレッサーを用いて測定した。凍結・解凍安定性は、RVAで調製した試料を室温に20分間放冷後、-20℃で22時間凍結、室温で2時間解凍を1サイクルとし、1から7サイクル繰り返した試料について物性測定を行い、調製直後と比較した。官能評価は評点法により検討した。<br>【結果】1)化工小麦澱粉2種は天然小麦澱粉に比べて、粘度上昇開始温度は低く、最高粘度、冷却50℃時の粘度がともに高く、糊の付着性は大きい値を示した。2)化工小麦澱粉は凍結・解凍後の糊の物性変化および離水は認められなかった。3)醤油の添加により、いずれの澱粉も最高粘度は低下した。4)ショ糖と醤油を加えたたれは凍結・解凍に伴い、馬鈴薯澱粉では硬さ、凝集性、付着性、ねばさの値の変化が大きいのに対し、化工小麦澱粉はこれらの変化が少なく凍結・解凍安定性が認められた。5)官能評価の結果から、化工小麦澱粉を用いたたれは、馬鈴薯澱粉および天然小麦澱粉に比べて高い嗜好を示した。
著者
米山 陽子 平尾 和子 濱西 知子 高橋 節子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成17年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.54, 2005 (Released:2005-09-13)

【目的】玄米飯ならびに玄米桜飯を家庭用炊飯器により、加水温度を変えて短時間で炊飯する方法を検討した。玄米は吸水率が低く浸漬が必要であるが、浸漬時間を短くする目的で玄米に熱湯を加えて炊飯する方法と水で1時間浸漬後炊飯する方法を比較した。また、玄米の種類ならびに加水温度の違いが物性および食味特性に及ぼす影響について検討した。【方法】試料玄米は低アミロース米「たきたて」と「あきたこまち」の2種を用いた。玄米450gを洗米水切り後、National IH炊飯器 SR-A10Fに入れ熱湯を加え直ちに炊飯する場合(熱湯法)および水に1時間浸漬した後炊飯する場合(水浸漬法)の2種について比較した。加水量は1.8倍とし、桜飯の調味料は塩、醤油および酒を炊飯直前に加えた。飯の物性は改良型テンシプレッサーによる低・高圧縮2バイト法を用いて、集団粒法にて測定を行った。官能評価は加水温度の異なる玄米2種の飯および桜飯について評点法を用いて行った。【結果】物性測定において、「あきたこまち」は熱湯法が水浸漬法に比べてこし・粘りがある飯となり、桜飯においては付着・粘りがある飯となった。「たきたて」は玄米飯、桜飯ともに加水温度による差は認められなかった。官能評価の結果から「たきたて」の玄米飯は光沢・色・粘り・のみこみやすさがあり、硬さがないと評価され、嗜好において光沢・色の項目で「あきたこまち」よりも好まれた。「たきたて」の桜飯では光沢・ねばり・のみこみやすさがあり、硬さがないと評価され、嗜好では光沢・味・硬さ・弾力・粘り・のみこみやすさおよび総合評価の7項目において好まれた。しかし、玄米飯、桜飯ともに熱湯法と水浸漬法の差は特性評価、嗜好ともに認められず、熱湯法による炊飯は時間短縮が可能と考えられた。