著者
小西 健三 瀧 和男 木村 宏一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.797-807, 1995-04-15

本論文では、新たなシミュレーテッド・アニーリング(SA)法の並行(コンカレント)アルゴリズムとして「温度並列SA法」を提案し、その評価を行う。温度並列SA法は、温度スケジュールの白動化、時間一様性(任意の時点での終了、あるし)は継続による解の改善が可能)、並列処理との高い親和性、という優れた性質を持つものである。本アルゴリズムは開発以来応用が先行しており、逐次SA法と比較した場合の最適化能力、実行時問の優劣については明らかでなかった。そこで本論文では、まず温度並列SAアルゴリズムについて報告し、次に逐次SA法との比較評価を実験的に行った。最適化能力における温度並列SA法と逐次SA法の比較では、同じアニーリングステップ数での比較に加えて、同じCPU時間を与えた場合の比較においても、温度並列SA法の方が優れていることが判明した。つまり、1台のCPUで同じ計算時間をかける場合でも、逐次SA法より温度並列SA法の方が良質の解が得られることを示しており、温度並列SA法のアルゴリズム自体の優位性を確認した。また、処理時問の短縮という観点からは、温度並列SA法は温度数まで並列処理が可能であり、また、従来の並列SA法とは異なり、並列実行しても最適化能力が劣化しないことも確認した。
著者
瀧 和男 金田 悠紀夫 前川 禎男
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.481-486, 1979-11-15

本論文は試作したLISPマシンについてアーキテクチャに重点を置いて論じている.システムはミニコンピュータを入出力処理とバックアップに用いた計算機複合体であり LISPプログラムの高速処理を行うLISPプロセッサモジュール 主記憶装置であるメモリモジュールがミニコンピュータのパスラインを介して接続されている.ミニコンピュータはシステム初期化 入出力処理の一部 システムのモニタリングを担当している.LISPプログラムの実行はミニコンピュータが行う入出力処理の部分を除きすべてLISPプロセッサモジュールにより行われる.LISPプロセッサモジュールは4個のビットスライス形マイクロプロセッサを結合した演算部と マイクロプログラム制御を行うシーヶンサおよびマイクロプログラムメモリから構成されるCCUを中核としており 外付けの高速ハードウェアスタック マッピングメモリ フィールド/ピット処理回路が付加されている.インタプリータはミニコンピュータ側の処理プログラムを除きすべてマイクロコード化されており 約1 400ステップとなっている.性能測定のため 当学会記号処理研究会が行った第2回LISPコンテストの課題プログラムを実行し測定を行った結果 インタプリータによる実行時間ではコンテストに参加したいずれのLISP処理系よりも高速であるという結果が得られた.
著者
中島 克人 瀧 和男 中島 浩 京 敬人 江原 輝文 山本 明 横田 実
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.149-150, 1986-10-01

第5世代コンピュータ・プロジェクトの中期テーマの1つとしてマルチPSIを開発中である。マルチPSIは並列論理型言詰KL1(核言語第1版)を用いた各種並列プログラム開発に用いる事を目的としたツールであり、専用のネットワーク・ハードウェアで16~64台の要素プロセッサ(PSI-II)を接続したシステムとする計画である。本稿ではPSI-IIの設計方針およびアーキテクチャについて述べる。
著者
金田 悠紀夫 前川 禎男 瀧 和男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.96-99, 1982-01-15

高級言語マシンの研究の一環として開発したLISPマシンの性能についてはすでに報告している.本論文は LISPプログラムを直接マイクロコードにコンパイルするコンパイラの導入により得られる効率の向上について論じている.簡単なベンチマークプログラムを用いた評価によりインタプリタに比して 5?8倍の高速性が得られることが判明し直接マイクロコード生成形コンパイラがきわめて有効であることが判明した.
著者
浪原 一洋 吉川 和宏 正 健太朗 瀧 和男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.251, pp.103-110, 1999-08-04

ネットワーク技術の発展により仮想世界と呼ばれる現実世界の模倣をネットワークにより相互接続された計算機上に仮想的に作り上げるアプリケーションが作られている. 本稿では, サーバー・クライアント形態をとりクライアントが多数同時参加する仮想世界アプリケーションを対象とした, 三次元CGデータをネットワーク上に効率良く配信する手法を提案する. このようなアプリケーションではサーバーからクライアントに向けてキャラクタのポリゴンモデルデータや動作データが送信されるが, 三次元CGデータは容量が大きいため, 効率良く配信する手法が必要である. 本手法では動作データについてストリーミング送信の手法を用いることにより大きなデータをリアルタイムに表示することを可能とした. またクライアントが一度受信したデータをキャッシュすることにより効率化を図った.