著者
小熊 進之介 金子 誠也 加納 光樹
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.65-73, 2022-04-20 (Released:2023-03-20)
参考文献数
44

2011年4月から2012年3月に涸沼の塩性湿地の湿地内部のクリークと湿地前縁において小型地曳網による定量採集を行い,絶滅危惧種ジュズカケハゼの仔稚魚の季節的な出現と食性を調べた。調査期間中に採集された本種は,仔稚魚を中心とした計1,425個体(体長5-55 mm)であった。本種の仔稚魚は4月から6月にかけて主にクリークで出現した後,クリーク内で徐々に成長し,12月には最小成熟サイズ(体長42 mm)に達した。一方,調査期間中に湿地前縁では仔稚魚は極めて稀にしか出現せず,成魚は全く出現しなかった。クリーク内での仔稚魚の主要な餌は,成長に伴ってカラヌス・キクロプス類からユスリカ類幼虫やアミ類へと変化した。したがって,本種は初期生活史を通して塩性湿地クリーク内に留まり,そこが本種の餌転換の場としても機能している可能性が示唆された。
著者
小熊 進之介 丸山 啓太 澤井 伶 中野 航平 河野 博
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 = Journal of the Tokyo University of Marine Science and Technology
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-19, 2022-02-28

2018年4月から2019年11月に千葉県新浜湖において小型地曳網と張網を用いて採集したニクハゼの出現様式,機能発育,および食性を調査し,干潟域におけるニクハゼの初期生活史を明らかにした.本研究では853個体のニクハゼが採集された.発育段階は,遊泳関連形質に基づくと4段階,摂餌関連形質に基づくと3段階に分けられた.消化管内容物調査の結果,体長13 mm未満の個体は浮遊性カイアシ類,体長13.0–23.9 mmでは浮遊性カイアシ類と多毛類,体長24.0 mm以上では様々な動物プランクトンやチチブ属の仔魚を主に摂餌することが明らかになった.また,岸側と沖側で採集されたニクハゼの個体数の違いから,新浜湖の干潟域では仔魚は岸側で成育し,成長に伴って岸側に加えて沖側も利用することが明らかになった.さらに,本種は東京湾内湾の干潟域の中では高塩分環境を好むと考えられた
著者
熊 進
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

1.過去の言語資料を整理したことによって、歴史的言語データから、文法事項を網羅的に拾い上げ、言語変化の新しい事実を発掘した。2.フィールドワークを通じて、現在の方言のデータを収集した。現地に行って、フィールドワークを行い、現時点の成都方言を詳しく記録した。そのデータで、コーパスを作り、成都方言の全体像を明らかにした。3.認知言語学、語用論、類型論など一般言語学の理論を使って、方言データに対して分析を行い、成都方言の文法形式が生まれるメカニズムの解釈を試みた。また、それを論文の形でまとめ、学会で発表した。具体的に、以下の学会発表をした。a."形容詞+了"所表示的主観性變化 2006年04月 首届新時期漢語語言學理論建設與應用研究國際學術研討會 国際会議 中国・紹興b.從是非問句的語用効果看部分疑問詞的産生機制 2006年05月 第7回漢語詞彙・語意研討会 国際会議(台湾・新竹)c.成都方言における"説" 2007年01月 東京大学駒場中国語研究会 東京大学4.インフォーマントの協力を得て、四川方言の会話テキストを作り、四川方言の特徴を音韻・語彙・文法から浮き彫りにし、これからの研究者に貴重な資料を残している。5.研究成果を博士論文「成都方言の文法研究--文法化のアプローチ」にまとめた。