- 著者
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石井 亮
大塚 和弘
熊野 史朗
大和 淳司
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.4, pp.1116-1127, 2016-04-15
複数人対話において,これまで着目されていなかった参加者の頭部運動と次話者との関連性を明らかにし,頭部運動の情報を用いて誰が次話者になるかを予測するモデルを提案する.まず,4者の対話のデータ収録を行い,発話情報,および頭部計測センサから取得される頭部位置,回転角からなる頭部運動情報を含む会話コーパスを構築した.コーパスデータを用いて,現話者の発話末の頭部運動と話者交替の関連性を分析した結果,話者継続時と交替時で,現話者の頭部運動が異なることが示された.また,非話者の発話末の頭部運動と次話者の関連性を分析した結果,話者継続時の非話者,話者交替時の非次話者と次話者の3者間で,頭部運動の特徴が異なることが示された.分析で差が見られた現話者,非話者の頭部運動情報を用いて,話者継続と話者交替のどちらが起こるか,さらに,話者交替時に非話者の中で誰が次話者になるかを2段階で予測する次話者予測モデルを構築した.その予測精度の評価の結果,現話者と非話者の頭部運動情報が話者継続/交替の予測に有用であることが示唆された.また,非話者の頭部運動情報が話者交替時の次話者の予測に有用であることが示唆された.