- 著者
-
田和辻 可昌
布川 絢子
山川 宏
- 出版者
- 一般社団法人 人工知能学会
- 雑誌
- 人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
- 巻号頁・発行日
- pp.2H1GS3a02, 2021 (Released:2021-06-14)
これまでオントロジカルAIにおいて機能を捉える枠組みは人工物をドメインとして提案されてきた.一方で,脳を参考にしたアーキテクチャを開発する上では,人工物のような合目的的な機能を設定するのではなく,自然物としての物理的構造に矛盾しない形で合目的的に機能を設定する必要がある.このような機能は一意に与えることができず,多元的にならざるを得ないという性質を有する.そこで本研究では,脳型アーキテクチャの構築を志向して,合目的的自然物における機能を多元的に解釈する枠組みに必要な概念を整理することを目的とする.本研究では,従来の関連する重要な概念として,David Marrの提唱した三つの水準を再考し,開発者と設計者間で合意が取れる概念の整理を試みた.この結果,David Marrの提案した三水準では,実質的ではあるものの機能的な観点と物理的な観点が未分化であり,またこの暗黙的な混同はソフトウェア開発一般における問題であることが明らかとなった.本研究の整理によって,脳型アーキテクチャの設計者・開発者間で合意が取れる概念が整理され,機能と構造を一貫した関係で捉えることが期待される.