著者
神應 知道 片岡 祐一 花島 資 中谷 研斗 佐藤 照子 土屋 志保 内藤 亜樹 中村 優 三浦 芳典 浅利 靖
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.835-842, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
28
被引用文献数
2

【目的】多職種運用 ICU栄養管理プロトコール導入効果の検討。【方法】ICU滞在2週間以上の患者でプロトコール導入前と導入後の2群間で栄養管理の結果を後方視的に検討。【結果】導入前(127人)に比べ導入後(103人)では,3週目のプレアルブミン(16.9mg/dL,20.7 mg/dL,p=0.013),4週目のアルブミン(3.3g/dL,3.6g/dL,p=0.025),経腸栄養投与開始日(3.9±4.2日,1.8±0.4日,p=0.038),ICU入室48時間以内の経腸栄養投与率(35.4%,53.4%,p=0.008)が有意に改善した。ICU滞在日数(22.6±11.5日,20.8±7.3日,p=0.15),ICU死亡率(16.5%,8.7%,p=0.059)は改善傾向を認めた。さらに ,48時間以内の早期経腸栄養達成に関する多変量解析では ,プロトコール導入はオッズ比2.16と独立した因子であった。【結論】多職種運用 ICU栄養管理プロトコールは,48時間以内の早期経腸栄養を達成でき,臨床栄養内容を有意に改善させた。
著者
箸方 紘子 島田 謙 山本 公一 朝隈 禎隆 片岡 祐一 相馬 一亥
出版者
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.1251-1254, 2012

患者は61歳,男性。大量飲酒後自宅屋外階段から転落し近医に搬送された。同院での腹部CTで腹腔内出血が疑われ,当院救命救急センターに転送された。検査上,胆嚢損傷,contusionと診断,保存的治療を選択した。第5病日に腹膜刺激症状が出現し,腹部造影CTで遅発性胆嚢穿孔(laceration)を疑い緊急開腹手術を施行した。開腹所見では胆汁性腹水がみられ胆嚢摘出術と術中胆道造影を施行したが胆嚢穿孔や胆管損傷はみられずいわゆるtraumatic BPWORと診断した。胆汁性腹膜炎は胆嚢粘膜剥離による胆汁の浸み出しが原因と考えられた。胆嚢は解剖学的位置関係から損傷を受け難いとされている。本症例では泥酔状態による腹壁緊張の低下に加え,転落時に十分な防御姿勢がとられなかったことが推測され,さらに飲酒後で胆嚢の緊満やOddi括約筋緊張亢進により胆嚢・胆管内圧上昇が胆嚢損傷に影響したものと考えられた。
著者
片岡 祐一 相馬 一亥 大和田 隆
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.329-336, 1995-08-10
被引用文献数
1 1

近年,増加傾向にある気管支喘息発作による発作死患者の病態を知る目的で,気管支喘息により来院時心肺停止状態であった患者26人(心肺停止群)を,重症気管支喘息のため人工呼吸管理を必要とした患者25人(対照群)と比較し,背景因子や臨床経過,病態生理などの差異について検討した。両群間で性比,年齢,通院治療歴,大発作入院歴,24時間以内の緩解発作の既往などの背景因子に差は認められなかった。来院までの経過は,心肺停止群では通報時12人(46.2%)が意識清明であったにもかかわらず,救急隊現場到着時20人(76.9%)の患者が心肺停止状態となっていた。一方対照群では,来院時22人(88.0%)に意識障害を認めたが,全例血圧は維持されていた。気管内挿管時の動脈血ガス所見では,心肺停止群は高度の混合性アシドーシスであったのに対し,対照群は呼吸性アシドーシスのみであった。症状出現から人工呼吸開始までの時間および治療開始後,気管内挿管時のPaCO<sub>2</sub>が半減するまでの時間は,心肺停止群でそれぞれ106±31min, 132±34minで,対照群の322±62min, 591±173minに比べ,ともに有意に短時間であった(p<0.01)。また症状出現から人工呼吸開始までの時間の分布も,心肺停止群は1時間以内が17人(65.4%)を占めていたが,対照群は1時間以上が17人(68.0%)占めていた。以上より心肺停止群は症状出現後急速に増悪し,きわめて短時間のうちに心肺停止に陥っているが,治療開始後の換気の改善もきわめて速い。心肺停止となる気管支喘息発作は,病態生理学的に発症機序が異なることが考えられ,わが国において急速に心肺停止に至る気管支喘息発作患者を減少させるためには,発症機序の解明とともに病院に来院するまでの対策が重要と考えられる。