著者
犬塚 美輪
出版者
日本教育心理学協会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.152-162, 2002
被引用文献数
7

本研究の目的は,説明文読解方略について,具体的な認知的活動を表す構造を示し,その併存的妥当性および交差妥当性を検討するとともに,学年による方略使用の違いを検討することである。調査1では,読解方略は,「意味明確化」「コントロール」「要点把握」「記憶」「モニタリング」「構造注目」「既有知識活用」の7カテゴリに分類できることが示され,これらのカテゴリは,「部分理解方略」「内容学習方略」「理解深化方略」の3因子のもとにまとめられることが示唆された。これらの因子は,さらに上位の因子である「読解方略使用傾向」のもとにまとめられた。調査2では,発話思考法を用いて,上述のカテゴリの併存的妥当性を示した。最後に,調査3では,方略構造の交差妥当性が示され,さらに,学年間の比較から「要点把握」「構造注目」「既有知識活用」において学年による方略使用の違いを見出した。このことから,これら3つのカテゴリに属するような方略が,年齢によって発達するものであることが示唆された。
著者
犬塚 美輪
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.13-25, 2016 (Released:2016-04-11)
参考文献数
30
被引用文献数
5

本研究では, 学習者が数学をどのような学問だと捉えているかを数学信念と定義した。本研究の目的は, 第1に, その因子構造を明らかにすることである。第2に, 数学信念の個人差を説明する要因を検討することを目的とした。先行研究と予備調査をもとに質問紙を作成し, 本調査では大学1年生762名の回答を分析した。探索的因子分析と確認的因子分析から, 数学信念が「有用性」「思考プロセス」「固定性」「困難性」の4因子によって説明できることを示し, 各因子の負荷の高い4項目を用いた数学信念の構造モデルを採用した。さらに, 性別, 学力(得意度・入試難度), および学習経験(専攻・数学学習経験・受験経験)が, 数学信念の4因子をどの程度説明するか, 共分散構造分析によって分析した。その結果, 学力や学習経験にかかわる変数と数学信念の関連が見られた。具体的には, 数学得意度は, 全ての因子と関連し, 得意度が高いほど有用性や思考プロセスの評定が高く, 固定性や困難度の評定が低かった。また, 入試難度・学習経験と受験経験から思考プロセスには有意な正のパスが示され, 固定性には有意な負のパスが示された。さらに, 専攻が理系であると, 思考プロセスの評定が高かった。一方, 性別と信念の4因子の間に有意なパスは見られなかった。
著者
犬塚 美輪
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.13-25, 2016
被引用文献数
5

本研究では, 学習者が数学をどのような学問だと捉えているかを数学信念と定義した。本研究の目的は, 第1に, その因子構造を明らかにすることである。第2に, 数学信念の個人差を説明する要因を検討することを目的とした。先行研究と予備調査をもとに質問紙を作成し, 本調査では大学1年生762名の回答を分析した。探索的因子分析と確認的因子分析から, 数学信念が「有用性」「思考プロセス」「固定性」「困難性」の4因子によって説明できることを示し, 各因子の負荷の高い4項目を用いた数学信念の構造モデルを採用した。さらに, 性別, 学力(得意度・入試難度), および学習経験(専攻・数学学習経験・受験経験)が, 数学信念の4因子をどの程度説明するか, 共分散構造分析によって分析した。その結果, 学力や学習経験にかかわる変数と数学信念の関連が見られた。具体的には, 数学得意度は, 全ての因子と関連し, 得意度が高いほど有用性や思考プロセスの評定が高く, 固定性や困難度の評定が低かった。また, 入試難度・学習経験と受験経験から思考プロセスには有意な正のパスが示され, 固定性には有意な負のパスが示された。さらに, 専攻が理系であると, 思考プロセスの評定が高かった。一方, 性別と信念の4因子の間に有意なパスは見られなかった。
著者
犬塚 美輪
出版者
大正大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

指導要領の改訂以来,さまざまな言語活動が提案される一方で,それらの提案は十分に整理されているとは言えなかった。そこで本研究課題では,論理的言語力の育成という観点から言語活動の課題を整理し,教科横断的な枠組みと日常的な活動が重要であることを示した。内容理解を高め,教科横断的に実施できる言語活動の枠組みとして「説明を中心とした言語活動」を提案し,数学や文章理解課題での効果を検証した。また,日常的な言語活動を促進するツールとして「マイ・ディクショナリー」と「付箋ノート」を提案した。