- 著者
-
狩野 浩二
- 出版者
- 十文字学園女子大学
- 雑誌
- 十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, pp.89-98, 2015
筆者は,1995年から沖縄における「授業研究を"核"とする学校づくり運動」に関して調査研究を継続してきた。その成果の一部はすでに公表してきている* 。 沖縄では,1975年5月に斎藤喜博,林竹二が那覇市立久茂地小学校を訪ね,同校の校長であった安里盛市との交流が始まった。その後,教授学研究の会の会員が沖縄の学校を訪ねたり,沖縄の教師たちが会の活動に参加をするなど,長期間にわたって教育研究運動が展開してきている。他の地域においては,斎藤喜博の没後,次第に学校づくり運動そのものは衰退し,現在では,ほとんど運動の展開をみないのに対して,沖縄の場合は,特異である。現在において,研究会である「沖縄第三土曜の会」が継続し,若い教師たちがその活動に参加するなど,学校づくり運動がしっかりと根付いているのである。本研究では,この展開について考察するとともに,いかにして沖縄の学校づくり運動が維持され,今日において,その成果が蓄積されているのか,という実態に迫ることが目的である。 沖縄県沖縄市立泡瀬小学校・幼稚園は,沖縄本島の中部,沖縄市の東海岸に位置する公立学校・園である。「沖縄第三土曜の会」において実践的な研究を続けてきた宮城和也校長が2014年度から学校づくりを開始した。その特長は群馬県島小学校(以下「島小」と略記)以来の学校づくり運動を継承するとともに,"表現活動"によって,子どもの心をひらき,子どもの集中力を育てる教育実践にある。 筆者は,2014年度において,10月から12月までの間,延べ15日間,2015年度において10月から12月まで延べ10日間にわたって入り,共同研究を行ってきた* 。