著者
今村 賢治 越前谷 博 江原 暉将 後藤 功雄 須藤 克仁 園尾 聡 綱川 隆司 中澤 敏明 二宮 崇 王 向莉
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.925-985, 2022 (Released:2022-09-15)
参考文献数
203

本解説論文では,特許を対象とした機械翻訳における種々の課題に対する関連技術の解説を行う.特許に対する機械翻訳は実用的にも学術的にも長い歴史を持つが,ニューラル機械翻訳の登場で新たな段階に進んできたと言える.そうした動向を踏まえ,訳抜け・過剰訳への対策,用語訳の統一,長文対策,低リソース言語対対策,評価,翻訳の高速化・省メモリ化,の6項目に分けて近年の関連技術を紹介し,今後の方向性を論じる.
著者
辻井 潤一 米澤 明憲 田浦 健次朗 宮尾 祐介 松崎 拓也 狩野 芳伸 大田 朋子 SAETRE Rune 柴田 剛志 三輪 誠 PYYSALO SAMPO Mikael 金 進東 SAGAE Kenji SAGAE T. Alicia 王 向莉 綱川 隆司 原 忠義
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は、文解析研究で成功してきた手法、すなわち、巨大な文書集合を使った機械学習技術と記号処理アルゴリズムとを融合する手法を、意味・文脈・知識処理に適用することで、言語処理技術にブレークスルーをもたらすことを目標として研究を遂行した。この結果、(1)言語理論に基づく深い文解析の高速で高耐性なシステムの開発、(2)意味・知識処理のための大規模付記コーパス(GENIAコーパス)の構築と公開、(3)深い文解析の結果を用いた固有名、事象認識などの意味・知識処理手法の開発、(4)大規模なテキスト集合の意味・知識処理を行うためのクラウド処理用ソフトウェアシステムの開発、において世界水準の成果を上げた。(2)で構築されたGENIAコーパスは、生命科学分野でのテキストマイニング研究のための標準データ(Gold Standard)として、国際コンペティション(BioNLP09、BioNLP11)の訓練・テスト用のデータとして、採用された。また、(1)の研究成果と機械学習とを組み合わせた(3)の成果は、これらのコンペティションで高い成績を収めている。また、(1)と(4)の成果により、Medlineの論文抄録データベース(2千万件、2億超の文)からの事象認識と固有名認識を数日で完了できることを実証した。その成果は、意味処理に基づく知的な文献検索システム(MEDIE)として公開されている。