著者
中澤 敏明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.299-306, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
6

ニューラル機械翻訳(NMT)の登場により機械翻訳のパラダイムは大きく変化した。平均的な翻訳精度は統計的機械翻訳(SMT)と比較すると格段に向上したが,誤りの傾向がSMTとは大きく異なっており,NMT特有の誤りも存在する。本稿では機械翻訳研究の歴史をごく簡単に振り返り,SMTの仕組みを簡単に復習した後,SMTと比較しながらNMTの仕組みを解説する。NMTは大きく分けてエンコーダー,アテンション機構,デコーダーの3つからなり,それぞれの役割についても解説する。またそれぞれの翻訳方式の特徴を明らかにし,その長所と短所を説明する。さらに科学技術振興機構(JST)におけるNMTの活用事例を紹介し,最後に本稿のまとめを行う。
著者
今村 賢治 越前谷 博 江原 暉将 後藤 功雄 須藤 克仁 園尾 聡 綱川 隆司 中澤 敏明 二宮 崇 王 向莉
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.925-985, 2022 (Released:2022-09-15)
参考文献数
203

本解説論文では,特許を対象とした機械翻訳における種々の課題に対する関連技術の解説を行う.特許に対する機械翻訳は実用的にも学術的にも長い歴史を持つが,ニューラル機械翻訳の登場で新たな段階に進んできたと言える.そうした動向を踏まえ,訳抜け・過剰訳への対策,用語訳の統一,長文対策,低リソース言語対対策,評価,翻訳の高速化・省メモリ化,の6項目に分けて近年の関連技術を紹介し,今後の方向性を論じる.
著者
美馬 秀樹 中村 覚 中澤 敏明
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.127-130, 2022-08-01 (Released:2022-10-05)
参考文献数
5

本稿では、ビヨンドブック(以下、BBと略)機能を支える要素技術の設計と開発について述べる。BBのプロトタイプ制作にあたっては、必要な要素技術について検討を行い、実験、評価を目的として可能なものの実装を進めた。具体的には、1)コレクション機能、2)カテゴライズ機能、3)テーマ抽出機能、4)マイクロコンテンツの最適配置機能、5)コンテンツ間のリンク推定機能、6)インターネット情報の取り込み機能、7)翻訳/著者と読者の共同編集機能、及び8)ユーザーアクションからの自動知識獲得機能、が挙げられる。これらの技術はいずれもデジタルアーカイブ全体の機能向上に役立つことを念頭において設計し、開発を進めたものである。
著者
井関 貴博 谷川 智洋 中澤 敏明 中村 覚 野見山 真人 前沢 克俊 美馬 秀樹 柳 与志夫
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.s1, pp.s122a-s123a, 2022 (Released:2022-02-28)

現在東京大学情報学環DNP寄付講座では、書籍・電子書籍のようなパッケージ型ではなく、デジタルコンテンツ本来の特性・メリットを生かしたネットワーク型・オープン型の知的構成物(「ビヨンドブック」略してBB)の研究開発に取り組んでおり、その最初の成果としてプロダクトデザインがまとまったところです。本セッションでは、その成果を披露し、パネリスト、会場からのご意見をいただき、今後の改善の参考にしたいと考えています。また、出版界が担ってきた書籍・電子書籍の制作・流通の中で、BBがどのような新たな役割を果たせるか、社会的側面の議論も行いたいと思います。
著者
中澤 敏明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.95-100, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
2

世界の科学技術の進歩のスピードが速まっており、また発信される情報も年々増加の一途をたどる中、必要な最新の情報にタイムリーにアクセスし、その概要を素早く把握する必要があることは明白である。JSTでは外国で発行される文献を収集し、その抄録を日本語で読めるようにするために、独自に高精度なニューラル機械翻訳エンジンを開発した。これにより、日本語への翻訳のための時間的、金銭的コストを大幅に縮小することができた。また開発したエンジンは機械翻訳の国際的な評価ワークショップの科学技術論文翻訳の全タスクにおいて最も高い精度を達成した。本稿では開発したエンジンの仕組みを解説し、その現状の翻訳精度や今後の課題について述べる。また科学技術論文だけでなく特許文など他のドメインへの適用可能性などについても述べる。